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芋粥
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いもがゆ
ふりがな文庫
“
芋粥
(
いもがゆ
)” の例文
「わッははは。軍師が違うわ。うしろ楯におつき遊ばす軍師がお違い申すわ。夜食に
芋粥
(
いもがゆ
)
でも
鱈腹
(
たらふく
)
すすって、せいぜい寝言でも
吐
(
つ
)
かッしゃい」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
五位は五六年前から
芋粥
(
いもがゆ
)
と云ふ物に、異常な執着を持つてゐる。芋粥とは山の芋を中に切込んで、それを
甘葛
(
あまづら
)
の汁で煮た、粥の事を云ふのである。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
子供たちに
芋粥
(
いもがゆ
)
を食わせることもできないような日があること、そして案外に年が若く、まだ三十六だということなどが、ぼんやりと耳に残った。
ちゃん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お寒いでしょう、雨にぬれて。——
竃
(
かまど
)
部屋で、お袖でも乾かし、粗末ですが、
芋粥
(
いもがゆ
)
なと召し上がって行ってください」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吊りランプの下で、ぢいといつしよに、あたたかい
芋粥
(
いもがゆ
)
をいたゞいてゐると、山でなくむじなの声が時々きこえます。
海坊主の話
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
▼ もっと見る
見れば子供衆が菓子を食べていなさるが、そんな物は腹の足しにはならいで、歯に
障
(
さわ
)
る。わしがところではさしたる
饗応
(
もてなし
)
はせぬが、
芋粥
(
いもがゆ
)
でも進ぜましょう。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
僅
(
わず
)
かに少量の干うどんとさつま
芋
(
いも
)
とが手に入ったきりであった。たとい焼けないにしても、当分は
芋粥
(
いもがゆ
)
にして食いのばさねばならぬ。がそれも長くは続かない。そのあとには
飢餓
(
きが
)
が来る。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
彼女は一
坪
(
つぼ
)
ばかりの台所で関西風な
芋粥
(
いもがゆ
)
をつくりながらこんな事を云った。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
見れば、大きな鍋で
芋粥
(
いもがゆ
)
をこしらえているらしい。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
芋粥
(
いもがゆ
)
くれ、おつさん」と、外套は呶鳴つた。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
同時に又そこに一しょにいた或友だちのことを思い出した。彼は彼自身の勉強の外にも「
芋粥
(
いもがゆ
)
」と云う僕の短篇の校正刷を読んでくれたりした。………
蜃気楼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
朝を待って、僧房の
芋粥
(
いもがゆ
)
をすすり、
焼飯
(
やきめし
)
の
糧
(
かて
)
は釘勘の腰につけて、三人はまた
芦
(
あし
)
ヶ
久保
(
くぼ
)
の山村を立ちました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姥竹は不安らしい顔をしながらついて行った。大夫は街道を南へはいった松林の中の草の
家
(
や
)
に四人を留めて、
芋粥
(
いもがゆ
)
をすすめた。そしてどこからどこへ往く旅かと問うた。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
するとそこには頭を丸めた異形の男がいて、まるで餓鬼のように
芋粥
(
いもがゆ
)
を喰べているのがみえた。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
尊氏はそのあとで
芋粥
(
いもがゆ
)
を三杯も喰べた。出陣には武門しきたりの古式もあるのだが、家族はおらず、時もこんな場合である。頼春の給仕のみで、すぐ
粥腹
(
かゆばら
)
に
鎧
(
よろい
)
を着込む。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は学校を出た年の秋「
芋粥
(
いもがゆ
)
」といふ短篇を新小説に発表した。原稿料は一枚四十銭だつた。が、いかに当時にしても、それだけに衣食を求めるのは心細いことに違ひなかつた。
身のまはり
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こんな雨もりだらけな屋根の下で、年じゅう、
芋粥
(
いもがゆ
)
や
稗飯
(
ひえいい
)
ばかりをかみつぶし、秋といっても、月見の
御宴
(
ぎょえん
)
に伺えるではなし、春が来ても、
豊楽殿
(
ほうらくでん
)
のお花見などは、他人のこと。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爾来
(
じらい
)
程なく、鈴木三重吉氏の推薦によって、「
芋粥
(
いもがゆ
)
」を「新小説」に発表したが、「新思潮」以外の雑誌に寄稿したのは、
寧
(
むし
)
ろ「希望」に掲げられた、「
虱
(
しらみ
)
」を
以
(
もっ
)
て始めとするのである。
羅生門の後に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
前述の義兄の児の世話も大変だった。一体、母はどうして毎日の家計をやったか。
芋粥
(
いもがゆ
)
で一食を過ごしたり、ランプの石油も買えない晩もあったりして、子供心にも、極貧さは身に徹していた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
病
聊
(
いささ
)
か
快
(
こころよ
)
きを覚ゆ。床上「
澀江抽斎
(
しぶえちうさい
)
」を読む。嘗て小説「
芋粥
(
いもがゆ
)
」を
艸
(
さう
)
せし時、「
殆
(
ほとん
)
ど全く」なる語を用ひ、久米に笑はれたる記憶あり。今「抽斎」を読めば、
鴎外
(
おうぐわい
)
先生も
亦
(
また
)
「殆ど全く」の語を用ふ。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
浄明はその晩、彼を炉ばたに招いて、
芋粥
(
いもがゆ
)
に一杯の酒を温めてくれた。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
○僕は新小説の九月号に「
芋粥
(
いもがゆ
)
」という小説を書いた。
校正後に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「旅のお方。先ほどから、気づいてはおりましたが、女一人、父が戻るまでは、お上げ申すわけには参りませぬが、この雪に、そんな所においでなされては、凍え死にまする。——土間へ這入って、
芋粥
(
いもがゆ
)
なと召し
喰
(
あ
)
がりませ」
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芋
常用漢字
中学
部首:⾋
6画
粥
漢検準1級
部首:⽶
12画
“芋”で始まる語句
芋
芋虫
芋刺
芋茎
芋坂
芋殻
芋焼餅
芋畑
芋蔓
芋銭