船橋ブリッジ)” の例文
天佑か、奇蹟きせきか、大きな麻袋は、大きくふくらみ、空へ飛翔せんとて暴れ廻る。その口を固く結んで、縄を船橋ブリッジの柱へ縛りつけた。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
ストウンとギブスンに見張ポストを譲って船橋ブリッジを降りると同時に彼は、個人的な、心持ちから、其の「変な船」の正体アイデンテテイを調べてみる気になった。
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
あのときばかりは船長以下、かじもコンパスもほうりっぱなしにして、みんながいっしょにすがりついて、船橋ブリッジをごろごろころがった
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
危険あぶないとも、恐ろしいとも何とも感じないまま船橋ブリッジの上から見下ろしていたものだ。恐らく側に立っていた船長も同様であったろうと思う。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
東屋氏は、署長、丸辰を従えて、船橋ブリッジへ馳け登って行った。そこには運転手らしい男が、逃げまどっていたが、東屋氏が
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
二千トンの高野山丸の船橋ブリッジを、初秋の風が吹き流れる。昼休みの弁当を食べ終った仲仕たちの多くは、甲板や艀などに横になって、昼寝をしている。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
僕は夜半直の四点時鐘ごろ(当直とうちょく時間は四時間ずつにして、ベルは三十分毎に一つずつ増加して打つのである。よってこれは四点なればあたかも中時間である)船橋ブリッジにいた。
アメリカ人に、「Mayachita, Mayachita」と呼ばれて人気のある水泳の宮下も、船橋ブリッジの上で手を打ちふりながら、いつまで熱狂ねっきょう的な歓送にこたえていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ふとうしろから、茶色の丸ッこい動物が、彼の肩を越えて、上の船橋ブリッジへ跳び上がった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駒井が船橋ブリッジの上で、お松を相手に熱心に植民を説いている時分、マドロスは料理場から金椎キンツイが得意の腕をふるってこしらえた大きな真白いお饅頭まんじゅうを五つばかり貰って、それを抱えると
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それがマドロス煙管パイプを横一文字にギューとくわえたまま、船橋ブリッジ欄干てすりに両ひじたせて、青い青い空の下を凝視しているんだ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかしこの説に依ると、老船長アウネスト・スミス氏も船橋ブリッジで自殺したことになっているが、これは全然誤りである。
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
船橋ブリッジのうえで、そういうのは、船長である。門司以来の顔見知りで、荷役のたび、何度も逢ったことがあった。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
そのとき、ウラル丸の船橋ブリッジには、船長と一等運転士が顔をそばへよせて、なにごとか早口で囁きあっていた。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
生残りの技術員たちは、口々に叫んで、船橋ブリッジから転げ落ちるように、甲板に降りて、なおも
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
向って左の方に、ひときわ高くあたかも船橋ブリッジのような屋上露台テラスを構えたのが主館おもやであろう。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
それから船橋ブリッジの前にブラ下げて在った浮袋ブイ一個ひとつ引っ抱えて上甲板へ馳け降りた。船尾から落ちた連中をたすけて水舟に取付かせてやるつもりだった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
沈没の瞬間まで船橋ブリッジに立っていた。海中に投げ出されて、ふと見るとすこし向うに赤ん坊が浮かんでいる。
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
幾度か、大村組の者から、六尺棒や、雁爪で追っかけられたが、すばやく、船橋ブリッジや、煙突のかげに隠れた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
そういって、くらやみでも目の見える船長は、セキストン団長の持っている双眼鏡をつかんで、それを船橋ブリッジ窓枠まどわくにおしつけ、そして正しい方向へむけてやった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
僕は、このまに船橋ブリッジの柱に架けてあった浮袋ブイを外して、それを身に着けた。何しろ、あと二、三分で、一千五百トンの汽船が、爆破して、木葉微塵こっぱみじんになるのだ。愚図愚図していられない。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
船長室にも無電室にもみつからないと、東屋氏は、船橋ブリッジを降りて後甲板の士官室へ飛込んだ。が、いない。直ぐ上の、食堂にも、人影はない。——もうこの上は、船首おもての船員室だけだ。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
陸影おかを離れてから間もない三日目の、二十三日の朝早く、無電技手が腰を抜かしたまま船橋ブリッジから転がり落ちて来た。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
船内捜索のときは、必ず二人以上組んでゆけ。一人きりで入っていっちゃ駄目だぞ。まずおれたちは船橋ブリッジを占領する。そこで十分間たっても異状がなかったら、手を
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
此の時ブルウス船長は、コウスを安定セットするために一寸海図室に入り、直ぐ船橋ブリッジに引っ返したのだが、見ると、後方に、二つの明るい火が、「燃えるように」輝いていた。
沈黙の水平線 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
船橋ブリッジには東屋氏を始め、船長に根室の水上署長、それから丸辰の親爺たちが、張り切った視線を遠くの海へ投げかけていた。中甲板の船室では、数名の武装警官達が、固唾かたずを飲んで待ち構える。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
肩をたたいて見たが、唖然あぜんとして吾輩を振り返るばかりだ。船橋ブリッジの下の光景に気を呑まれていたんだろう。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
皆帰船したかオウル・アブロウド?」と舵子長マスタア船橋ブリッジから呶鳴った。「皆居ますオウルズ・イン」と水夫長ボウシンが答えた。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「ほら、甲板だの船橋ブリッジだのに、人骨がちらばっていたことさ。つまりこの幽霊船には、おりを破った猛獣が暴れていたんだ。そして船員を片っ端から喰いあらしていたのにちがいない」
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それが船橋ブリッジ欄干クロスに両ひじたせて、青い青い秋空の下に横たわる陸地おかの方を凝視みつめているのだ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
船員のしらせで、さっきから船橋ブリッジにでて、このありさまをすべてみてしっていた。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
流石さすがに沈着な船長もコレには少々驚いたらしい。船橋ブリッジのぼって、珍らしそうに白い太陽を凝視している。その横に一等運転手がカラも附けないまま寒そうに震えている。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
上の部屋は、汽船でいうと船橋ブリッジに相当するところであって、発令室と呼ばれ、複雑な通信機がやっぱり環状にならんで据えつけられ、艇長リーマン博士のほか、数名の高級艇員が執務していた。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし私は屁古垂へこたれなかった。なおも二人の跡をうて船首の方へ行こうとすると、出会いがしらに二等運転手が船橋ブリッジから駈け降りて来た。見るとこれも顔の色を変えている。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんな騒ぎのうちに、船橋ブリッジでもひそかなる大騒ぎが起っていた。