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能辯
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のうべん
中途から
顏を
出した
宗助には、
能くも
解せなかつたけれども、
講者は
能辯の
方で、
默つて
聞いてゐるうちに、
大變面白い
所があつた。
と
一寸横顏を
旦那の
方に
振向けて、
直ぐに
返事をした。
此の
細君が、
恁う
又直ちに
良人の
口に
應じたのは、
蓋し
珍しいので。……
西洋の
諺にも、
能辯は
銀の
如く、
沈默は
金の
如しとある。
振ひ宜しく申し爲し給ふべしと何か
耳語ければ左仲は
微笑此書面は貴殿の認められしことなれば我れ能々
腹に
納めて持參致し某し日頃の
能辯を以て天晴
上首尾に
仕課せ申すべしとて獨り
誇り
顏に支度を
非常に
能辯な
京都言葉を
操る四十
許の
細君がゐて、
安井の
世話をしてゐた。