能辯のうべん)” の例文
新字:能弁
中途ちゆうとからかほした宗助そうすけには、くもせなかつたけれども、講者かうじや能辯のうべんはうで、だまつていてゐるうちに、大變たいへん面白おもしろところがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一寸ちよつと横顏よこがほ旦那だんなはう振向ふりむけて、ぐに返事へんじをした。細君さいくんが、またたゞちに良人をつとくちおうじたのは、けだめづらしいので。……西洋せいやうことわざにも、能辯のうべんぎんごとく、沈默ちんもくきんごとしとある。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふるひ宜しく申し爲し給ふべしと何か耳語さゝやきければ左仲は微笑ほゝゑみ此書面は貴殿の認められしことなれば我れ能々はらをさめて持參致し某し日頃の能辯のうべんを以て天晴上首尾じやうしゆび仕課しおほせ申すべしとて獨りほこがほに支度を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
非常ひじやう能辯のうべん京都きやうと言葉ことばあやつる四十ばかり細君さいくんがゐて、安井やすゐ世話せわをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)