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ももだ
ふりがな文庫
“
股立
(
ももだ
)” の例文
その武士たちは
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちを高く取り、抜き身の槍を立て、畳をガンギに食い違えに積み、往来を厳重に警衛しているのである。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
かれらは袴の
股立
(
ももだ
)
ちを取って、この泥ぶかい岸に降り立って、疑問の帯をずるずると
手繰
(
たぐ
)
りあげたが、帯は別に不思議の働きをも見せないで
半七捕物帳:08 帯取りの池
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
よし、とばかり刀の
下
(
さ
)
げ
緒
(
お
)
をとって
襷
(
たすき
)
にかけ、
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちを取りながら先方の浪人を見ると、その身構えがまるで
素人
(
しろうと
)
だ。掛け声勇ましくこちらは飛び込んで行った。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
きっと、吉宗が振返ってみますと、
革襷
(
かわだすき
)
股立
(
ももだ
)
ちのまま、旗本の
中坊
(
ちゅうぼう
)
陽之助がそこに小膝を折って
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋山先生は
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちをとって飛出した。生徒もみんな加勢に飛出した。表通りからも、裏通りからも、番頭さんや小僧や、
権助
(
ごんすけ
)
さんまでが火事と間違えて駈けつけてきた。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
馬繋ぎ場のわきで立ちどまった彼は、振り分け荷を土塀の下の草の上において、袴の
股立
(
ももだ
)
ちをおろした。
手拭
(
てふ
)
きを出して、
裾
(
すそ
)
を、特に
脚絆
(
きゃはん
)
の黄色い
埃
(
ほこり
)
をはらいおとすのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
深い
碧
(
みど
)
りの上へ薄いセピヤを流した空のなかに、はっきりせぬ
鳶
(
とび
)
が一羽舞っている。
雁
(
かり
)
はまだ渡って来ぬ。
向
(
むこう
)
から
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちを取った小供が唱歌を
謡
(
うた
)
いながら愉快そうにあるいて来た。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すぐ間近かにひびく陣太鼓の音で眼がさめたのだ。一学は慌ててはね起きた。袴をはき
股立
(
ももだ
)
ちをかかげるが早いか、彼はその晩、上野介と左兵衛の眠っている筈の奥の部屋へ駈けつけた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
と、
股立
(
ももだ
)
ちを取って、刀を掴んだまま、庭上に飛び下りようとしたとき
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
この方から
逆寄
(
さかよ
)
せして、別宅のその
産屋
(
うぶや
)
へ、
守刀
(
まもりがたな
)
を
真先
(
まっさき
)
に露払いで乗込めさ、と
古袴
(
ふるばかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちを取って、
突立上
(
つッたちあが
)
りますのに
勢
(
いきおい
)
づいて、お産婦を
褥
(
しとね
)
のまま、四隅と両方、六人の手で
密
(
そっ
)
と
舁
(
か
)
いて、釣台へ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あわてて、袴の
股立
(
ももだ
)
ちをおろそうとした。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼は深い
編笠
(
あみがさ
)
をかぶって、
白柄
(
しろつか
)
の大小を横たえて、この頃
流行
(
はや
)
る
伊達羽織
(
だてばおり
)
を腰に巻いて、
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちを高く取っていた。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
半蔵は父と同じように、麻の
𧘕𧘔
(
かみしも
)
をつけ、
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちを取って、親子してその間を奔走した。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すぐ
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ち取って、室内から二本の稽古槍を抱えて庭へ降りて来た。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とても一と通りのことでは歩かれないと覚悟して、伊四郎は足袋をぬいで、袴の
股立
(
ももだ
)
ちを高く取って、素足になった。
異妖編
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
靴は勿論すくない、みな草履であったが、強い雨や雪の日には、尻を
端折
(
はしょ
)
り、あるいは袴の
股立
(
ももだ
)
ちを取って、はだしで通学する者も随分あった。学校でもそれを
咎
(
とが
)
めなかった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
二人ともに合羽をきて、袴の
股立
(
ももだ
)
ちを取って、草鞋をはいていた。
妖婆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
股
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“股”で始まる語句
股
股引
股肱
股倉
股間
股火
股旅
股引下
股旅者
股栗