“納(をさめ)” の例文
盃(さかづき)を納(をさめ)るなり汽車(きしや)に乗(の)つて家(いへ)を出(で)た夫婦(ふうふ)の身体(からだ)は、人間(にんげん)だか蝶(てふ)だか区別(くべつ)が附(つ)かない。遥々(はる/″\)来(き)た、と言(い)はれては何(なん)とも以(もつ)て極(きまり)が悪(わる)い。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「その氣なら、遠慮のないところを訊きますが、第一、殺された納(をさめ)さんを怨んでゐる者はありやしませんか」
納(をさめ)ずやと斯(かゝ)る節(をり)にも老功なれば物に動ぜず理非(りひ)明白(めいはく)演(のべ)て諭(さと)せし父が言葉(ことば)にお光はやう/\承知して刄(やいば)の血(のり)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それぢやお前さんは、太田屋の御主人の妹の納(をさめ)さんと言ひなさるのか。大層綺麗な人と聽いたが——」
納(をさめ)てその跡(あと)が八十四五俵(へう)程も取入ます大凡(おほよそ)家邸(いへやしき)五百兩諸道具が三百兩餘り抱(かゝ)への遊女が十四五人是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「でも、あの伊三郎といふ人の氣は知れません。納(をさめ)さんを追ひ廻したり、それから、それから——」
押拭(おしぬぐ)ひ鞘(さや)に納(をさめ)て腰(こし)に帶(おぶ)れば父は再度(ふたたび)此方(こなた)に向ひ此家に長居する時は眞夜中(まよなか)なりとも如何なる人に知れて繩目(なはめ)の恥(はぢ)を受んと言も計られねば早く立去り支度(したく)をしてと云にお光も心得て父諸共(もろとも)に家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)