窒息ちつそく)” の例文
蜥蜴とかげ鉛筆えんぴつきしらすおと壓潰おしつぶされて窒息ちつそくしたぶた不幸ふかう海龜うみがめえざる歔欷すゝりなきとがゴタ/\に其處そこいらの空中くうちゆううかんでえました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
二重ふたへほそ咽喉のどいてゐるえなを、あのほそところとほときはづそくなつたので、小兒こどもはぐつと氣管きくわんめられて窒息ちつそくして仕舞しまつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
悲しみも窒息ちつそくさせることの出來ない健康な美しさが、場所柄に似合はず四方に放散しましたが、下女のお石は二十四五の年増。
不用意ふよういると窒息ちつそくしておそれがあるので、蝋燭らうそくをさしれる必用ひつようがある。人足にんそく一人ひとりすゝんで、あななか片手かたてをさしれると、次第しだいちいさつて、のちには、ふツとえた。
「だが、私を引き倒したり、窒息ちつそくさせないで下さい。」と彼は答へた。
兎に角、平次とガラツ八が横山町へ着いた時は、遠州屋の上下は、壓迫された恐怖が、不氣味に立ちこめて、その邊に居る者をみん窒息ちつそくさせて了ひさうでした。
私が受け入れ、理解し、思ひ定めることの出來ない程高遠な思案に半ば窒息ちつそくして。——如何にするか、爲し得るか、爲したいと望むか、また、爲すべきかといふ思案、しかも、そこに迫つてゐる。
かれくら小路こみちに立つて、世界がいまよるに支配されつゝある事を私かによろこんだ。しかも五月雨さみだれの重い空気にとざされて、あるけばあるく程、窒息ちつそくする様な心持がした。神楽坂上かぐらざかうへた時、急にがぎら/\した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
が、其處の陰慘な空氣は、暢氣者のガラツ八をも窒息ちつそくさせさうです。