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磅礴
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ほうはく
ふりがな文庫
“
磅礴
(
ほうはく
)” の例文
その証拠には仏蘭西文学に最も私淑している諸先輩の小説にも、いわゆるレスプリ・ゴオロアの
磅礴
(
ほうはく
)
しているような作品は見えない。
仏蘭西文学と僕
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし遺伝学というのみの狭い領域だけじゃない。あの
磅礴
(
ほうはく
)
としたものの中には、必ず想像もつかぬ怖ろしいものがあるに違いないのだ
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
渠らが十年語りて尽くすべからざる心底の
磅礴
(
ほうはく
)
は、実にこの瞬息において神会黙契されけるなり。ややありて、まず馭者は口を開きぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大雪山は北海道の中央に
磅礴
(
ほうはく
)
して、七、八里四方の地盤を占め頂上の偉大なること、天下に比なく、群峰
攅
(
あつま
)
って天を刺し、旭川の市街を圧す。
層雲峡より大雪山へ
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
画讃の書も、他の陶人に見ることの出来ない乾山独特の権威ある書として、流暢な上に
磅礴
(
ほうはく
)
の一気を添え、能書乾山の実を
贏
(
か
)
ち得ていると思われる。
古器観道楽
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
▼ もっと見る
その権威は厳として宇宙に
磅礴
(
ほうはく
)
し、その光輝は
燦
(
さん
)
として天地を照破し、その美徳は
杳
(
よう
)
として万生を薫化しております。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ある思いが
磅礴
(
ほうはく
)
として彼の胸に押し寄せて来た。ははあ、城介はずっとそんなことを考えていたんだな。いつ頃からそんな考えを持ち始めたのだろう。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
綱線を
綰
(
たば
)
ねて叩き潰して更に
夫
(
それ
)
を引き伸したような山の空線は、山体に
磅礴
(
ほうはく
)
した
鬱勃
(
うつぼつ
)
の気がはち切れる程に籠って、火花が散るように鋭く閃いている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
五ヶ条の
誓文
(
せいもん
)
が天から下る、藩主が封土を投げ出す、武士が両刀を投出す、えたが平民になる、自由平等革新の空気は
磅礴
(
ほうはく
)
として、その空気に蒸された。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ベートーヴェンのいわゆる「心より
出
(
い
)
で再び心に
赴
(
おもむ
)
かんことを」の厳粛な思想が、その十一枚の全曲に
磅礴
(
ほうはく
)
する。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
「老僧の
舎利
(
しゃり
)
は天地を包む」と仏光国師は云われたが、よし、老師の残骸は松丘の上、楓樹の下に埋められても、その精神は宇宙に
磅礴
(
ほうはく
)
して居るのである。
楞迦窟老大師の一年忌に当りて
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
『万葉』の歌人は鶯の声の内に、
磅礴
(
ほうはく
)
として天地にひろがる春を感ずるのである。そうしてその声に融け入って、その声とともに、歓びに心を踊らせるのである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
こう見て来ますと、この中老の番頭には危機が危機でなく安泰が安泰でなく、何事も両極が
磅礴
(
ほうはく
)
して、それでどっかに中心を取って行く、妙に粘りのある渾沌が見出されて来ます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「いらしたらいいでしょう。……
巴里
(
パリ
)
の
下層社会
(
ゾニェ
)
の人情風俗をうがつために、わざわざあんなところに住んでいらっしゃるんだから、そこまで
磅礴
(
ほうはく
)
しなければイミをなさんでしょう」
犂氏の友情
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
黒い顔! 中には日本に籍があるのかと怪まれるくらい黒いのがいる。——刈り込まざる髯!
棕櫚箒
(
しゅろぼうき
)
を
砧
(
きぬた
)
で打ったような髯——この
気魄
(
きはく
)
は
這裏
(
しゃり
)
に
磅礴
(
ほうはく
)
として
蟠
(
わだか
)
まり
沆瀁
(
こうよう
)
として
漲
(
みなぎ
)
っている。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平民的の活気は全社会に充満
磅礴
(
ほうはく
)
し、ひとり天下国家の大経綸のみならず
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
無言! とはいえ
磅礴
(
ほうはく
)
とした殺気!
怒濤
(
どとう
)
! 藪を背に切り込んで来た。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が文三無念で残念で口惜しくて、堪え切れぬ憤怒の気がカッとばかりに
激昂
(
げっこう
)
したのをば無理無体に
圧着
(
おしつ
)
けた為めに、発しこじれて内攻して胸中に
磅礴
(
ほうはく
)
鬱積する、胸板が張裂ける、
腸
(
はらわた
)
が
断絶
(
ちぎ
)
れる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
先生詩酒ニ
跌倒
(
てっとう
)
シ傾倒
淋漓
(
りんり
)
、
磅礴
(
ほうはく
)
際
(
きわまり
)
ナシ。
噫
(
ああ
)
今
已
(
すで
)
ニ
亡
(
な
)
シ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
法水が悠久
磅礴
(
ほうはく
)
たるものに打たれたのみで、まるで巨大な
掌
(
てのひら
)
にグイと握り
竦
(
すく
)
められたかのような、一種名状の出来ぬ圧迫感を覚えたのであった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その崇高とも、厳粛とも形容の出来ない気分が、席上に
磅礴
(
ほうはく
)
して来たので皆思わず
襟
(
えり
)
を正したという。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これを「女学生的でなさ過ぎる」と一部の人はしゃれていうが、フォイアマンには情緒の代りに知的な美しさがあり、甘美さの代りに
磅礴
(
ほうはく
)
する力の
漲
(
みなぎ
)
りがあるのである。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
飄然として
岫
(
みね
)
をいずる白雲のごとく東に漂い西に泊す。自然の美に酔いては宇宙に
磅礴
(
ほうはく
)
たる悲哀を感得し、自然の寂寥に泣いては人の世の虚無を想い来世の華麗に憧憬す。
霊的本能主義
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
この手紙の中に
磅礴
(
ほうはく
)
している野村の愛と、あの小説の中にぶちまけてある大井の愛と——一人の初子に天国を見ている野村と、多くの女に
地獄
(
じごく
)
を見ている大井と——それらの間にある大きな懸隔は
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その一事は、かつて検事が、疑問一覧表の中に加えたほどで、
磅礴
(
ほうはく
)
と本体を隔てている捕捉し難い霧のようなものだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その間に凝結、
磅礴
(
ほうはく
)
している
凄愴
(
せいそう
)
の気魄はさながらに鉄と火と血の中を突破して来た志士の生涯の断面そのものであった。青黒い地獄色の皮膚、前額に乱れかかった縮れ毛。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
磅
漢検1級
部首:⽯
15画
礴
部首:⽯
21画
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磅礴隊