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砌
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みぎ
ふりがな文庫
“
砌
(
みぎ
)” の例文
鬼六は連れられて、大書院の
廂
(
ひさし
)
の
砌
(
みぎ
)
りに、ひざまずいた。はや同席の人々は見えず、左将監と越後守との、両探題だけが残っていた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
謹啓、厳寒の
砌
(
みぎ
)
り愈〻
御清穆
(
ごせいぼく
)
に
渉
(
わた
)
らせられ大慶の
至
(
いたり
)
に存じ上げます。毎々多大の御厚情を
蒙
(
こうむ
)
り有難一同深く感謝致して居ります。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
是なる天忠淨覺院
住職
(
ぢうしよく
)
の
砌
(
みぎ
)
り
拾
(
ひろ
)
ひ上て御養育申
上
(
あげ
)
し處間もなく天忠には
美濃
(
みのゝ
)
國
各務郡
(
かゞみごほり
)
谷汲郷
(
たにぐみがう
)
長洞村常樂院へ
轉住
(
てんぢう
)
致し候に付若君を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
井上源兵衛といえば、九両三人
扶持
(
ぶち
)
を頂いて、小身ながらも、君候
在世
(
ざいせい
)
の
砌
(
みぎ
)
りはお勝手元勘定方を勤めていた老人である。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
お代官が検分の
砌
(
みぎ
)
り、この乾物屋の附近に立っていた在郷らしい女の子はいったいありゃ何者だ、どこの誰だか
詮議
(
せんぎ
)
をして申し上げろということです。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
此孔雀の舌の料理は
往昔
(
おうせき
)
羅馬
(
ローマ
)
全盛の
砌
(
みぎ
)
り、一時非常に流行致し
候
(
そろ
)
ものにて、
豪奢
(
ごうしゃ
)
風流の極度と平生よりひそかに
食指
(
しょくし
)
を動かし
居候
(
おりそろ
)
次第
御諒察
(
ごりょうさつ
)
可被下候
(
くださるべくそろ
)
。……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
砌
(
みぎ
)
り即興的にお話申上げし創作「蕗子事件について」本日××誌上に御力作御発表、敬服再読仕り候、御恩恵の金五円はテーマ譲渡料として正に頂戴可仕候。呵々。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
天井界の住人黒皮忠兵衛殿が一夜
潜
(
ひそ
)
かに領内巡察の
砌
(
みぎ
)
り、あやまつて大道に放尿したる違警罪の罪跡が、歴然として雲形に五六の斑点を印し、総体が濃淡の
染分
(
そめわけ
)
に
煤
(
すす
)
びわたりて
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
大禄
喰
(
は
)
みながらなかなか勘定高うてな、この十年来、兎角お墨付を
蔑
(
ないがし
)
ろに致し、ここを通行致す
砌
(
みぎ
)
りも、身が
他行
(
たぎょう
)
致しておる隙を狙うとか、乃至は夜ふけになぞこっそりと通りぬけて
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
元治元年三月二十七日筑波山に立籠った
武田耕雲斎
(
たけだこううんさい
)
の
天狗党
(
てんぐとう
)
が同年四月三日日光に向う
砌
(
みぎ
)
り、途中から脱走して江戸へ紛れ込んだのが、この袈裟がけの辻斬人水戸浪士の伊丹大之進であった。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
されば彼は
高島秋帆
(
たかしましゅうはん
)
を江戸に召して、砲術を演ぜしめ、これを旗本及び諸侯の士に伝習するを公許し、天保十三年七月においては、さらに文政打払令を取り消し、異国船来着の
砌
(
みぎ
)
りは、来意を
質
(
ただ
)
し
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「寛之助様、御逝去の
砌
(
みぎ
)
り——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
三州藤川在岩井村無宿當時江戸麹町三丁目重兵衞店作藏事町醫師村井長庵五十三歳
其方儀
(
そのはうぎ
)
三州藤川在岩井村に
罷
(
まか
)
り在候
砌
(
みぎ
)
り同村に於て百姓
勘
(
かん
)
次郎を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
当年とって一歳だから人間がこんな病気に
罹
(
かか
)
り出した当時の有様は記憶に存しておらん、のみならずその
砌
(
みぎ
)
りは浮世の
風中
(
かざなか
)
にふわついておらなかったに相違ないが
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ただこの度のお使いに官兵衛が参った由だけを、おついでの
砌
(
みぎ
)
りお伝えおき賜われば足りまする」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当国三河で下々の者共が申す
戯
(
ざ
)
れ
語
(
ご
)
でな、つまりはお茶の濃い薄いじゃ、
飴
(
あめ
)
のごとくにどろどろと致した濃い奴を所望致す
砌
(
みぎ
)
りに、ねじ切って腰にさすがごとき奴と、このように申すのでな
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
以て私しへ仰せ
聞
(
きけ
)
らるゝやと申立るを越前守殿
聞
(
きか
)
れ
默
(
だま
)
れ長庵其
砌
(
みぎ
)
りは
確然
(
しか
)
とした證據人の
無
(
なか
)
りし故なり此度は其
節
(
せつ
)
の證據人と對決申し付る間其時
有無
(
うむ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
去年
(
こぞ
)
の暮、この辺を御巡視の
砌
(
みぎ
)
り、お供の余暇を
窺
(
うかが
)
って、独り彼方此方、歩きましたから」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしその時その
砌
(
みぎ
)
りの長蔵観と比較して見るとだいぶ違ってるようだ。——
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
親しゅうお目にかかって、お話しいたしたい儀もある由にござりますゆえ、長途のおつかれもある
砌
(
みぎ
)
り、何とも恐れ入りまするが、曲げて御来駕あるようにと、主人よりの口上にござりまする
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又、日光御社参の
砌
(
みぎ
)
りにも、奉行の大名方は、吉良の為に、何れほど泣く目を見たか知れぬという。——と聞けば取るにも足らぬ俗人じゃ。吉良の、四位の少将のと、人らしく思えばこそ腹が立つ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
砌
漢検1級
部首:⽯
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宗砌
其砌
梵砌
此砌
階砌