みは)” の例文
帽子屋ばうしやはこれをいていちじるしくみはりました、が、つたことは、『何故なぜ嘴太鴉はしぶとがらす手習机てならひづくゑてるか?』と、たゞこれだけでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
聞けば聞くほど、お種は驚愕おどろきの眼をみはった。夫が彼女のもので無くなったばかりでなく、嫁まで彼女のものでは無くなりかけて来た。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
頭髪かみの房々とあるのが、美しい水晶のような目を、こう、俯目ふしめながらすずしゅうみはって、列を一人一人見遁みのがすまいとするようだっけ。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は立てるままに目をみはりつ。されど、その影は後向うしろむきに居て動かんともず。満枝はいまだ往かざるか、と貫一は覚えず高く舌打したり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
軍医はこの心の臓にお通夜をするつもりで、じつと眼をみはつて、洋盃コツプのなかを見つめてゐた。
砂利じゃり玉石たまいしは玉川最寄もよりから来るが、沢庵たくあん重石おもし以上は上流青梅あおめ方角から来る。一貫目一銭五厘の相場そうばだ。えらんだ石をはかりにかけさせて居たら、土方体どかたていの男が通りかゝって眼をみは
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
仙太は目をみはりて、我にもあらでひしと握緊にぎりしむる手を、女は慌てて振払い
片男波 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
貫一は覚えず足を踏止めて、そのみはれるまなこを花に注ぎつ。宮ははやここに居たりとやうに、彼は卒爾そつじの感につかれたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
だれほかもの僞筆ぎひつ相違さうゐない』と王樣わうさままをされました。(陪審官ばいしんくわんのこらずみはりました)
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
学士は身体の置き処も無いほど酔っていたが、でも平素の心を失うまいとする風で、朦朧もうろうとした眼をみはって、そこに居る夫婦の顔や、洋燈に映るコップの水などをよく見ようとした。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お夏は驚いて目をみはった。真面目に唖然あぜんたるものこれを久しゅうして
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人は芝生に立って、驚嘆きょうたんの眼をみはって斯おびただしい雨雲の活動を見た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
二人は蒲田が案外の物持てるにおどろかされて、おのおの息をこらしてみはれるまなこを動さず。蒲田も無言のうちに他の一通を取りてひらけば、妻はいよいよちかづきて差覗さしのぞきつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)