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疾
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とつ
ふりがな文庫
“
疾
(
とつ
)” の例文
私は学校へ出たいといふやうな最初の希望はもう
疾
(
とつ
)
くに、捨てて了つて居たが、清水へ引越して来てからは、一層自分の将来を気にする様になつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「まだ直らないのか?」義雄は止むを得ず笑ひにまぎらして、自分の方は
疾
(
とつ
)
くに直つたのを氣の毒にも思はれる。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
やつと眼がさめた時には、もう
疾
(
とつ
)
くに太陽が高く昇つてゐたので、彼はびつくりした。⦅俺は朝祷にも弥撒にも、寝すごして、よう詣らなかつたのだな!⦆
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
ね——
義兄
(
にい
)
さん、……お
可哀相
(
かあいさう
)
は、
最
(
も
)
う
疾
(
とつ
)
くのむかし
通越
(
とほりこ
)
して、あんな
綺麗
(
きれい
)
な
方
(
かた
)
が
最
(
も
)
うおなくなんなさるかと
思
(
おも
)
ふと、
真個
(
ほんとう
)
に
可惜
(
あつたら
)
ものでならないんですもの。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私自身お上品ぶつた芸術家の
矜
(
ほこ
)
りなんかは、
疾
(
とつ
)
くにどこかへ吹飛んで、一人の人間として、何か大衆のなかに働いてゐる人の安らかさを思ふやうになつてゐた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
竹丸はよくお駒から
怪猫
(
ばけねこ
)
の話を聽かされてゐたので、自分の母は
疾
(
とつ
)
くに何處かの古猫に喰ひ殺されて、猫が母の姿になつてゐるのではあるまいかと思つてゐた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
勝代は
疾
(
とつ
)
くに炬燵を離れて、小さい弟を連れて座敷の縁側へ出て
日向
(
ひなた
)
ぼつこをしてゐた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「
自分
(
じぶん
)
で
丈夫
(
ぢやうぶ
)
でせえありや
疾
(
とつ
)
くにやつちまつたんだが」と
小聲
(
こごゑ
)
でいつた。お
品
(
しな
)
はどうも
勘次
(
かんじ
)
を
出
(
だ
)
すのが
厭
(
いや
)
であつた。
然
(
しか
)
し
何
(
なん
)
だかさう
明白地
(
あからさま
)
にもいはれないので
恁
(
か
)
ういつたのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あなたの抱いてゐる同情は、法に合つてもゐないし、
聖
(
きよ
)
らかでもない。そんなものは、もう
疾
(
とつ
)
くに潰してしまつてゐるべきだつたのです。今そのことを引き出すのを
恥
(
は
)
づべきですよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と、かうぢや。まことに尤もな話で、もう
疾
(
とつ
)
くに楽隠居でもして落ちついてゐるのがほんたうぢやて。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:01 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
都会的の
刺戟
(
しげき
)
でもなかつたら、生きることに疲れきつた私は、
疾
(
とつ
)
くにへたばつてゐたに違ひなかつた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
十分間ばかりも待つたが、一向車の来さうな
気配
(
けはひ
)
もなかつた。通りの店々は皆もう
疾
(
とつ
)
くに閉つて了つて、ほの暗い軒燈の光が、ぽつり/\間遠に往来を照らしてゐるのみで、人通りも殆どなかつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
思ひ出すと、樺太の鑵詰業者でも、見切りのいいもの等は、秋の蟹は割合に利益にならないとして、
疾
(
とつ
)
くに、今年の仕事を切りあげ、東京などへ、來年の發展もしくは契約の爲めに出かけてゐる筈だ。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
おつぎは
與吉
(
よきち
)
を
連
(
つ
)
れて
疾
(
とつ
)
くに
歸
(
かへ
)
つて
居
(
ゐ
)
たのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼はその日も、その次ぎの日も馬を走らせたが、行けども行けどもカニョーフの
市
(
まち
)
はなかつた。路は確かに間違ひなくその路で、もう
疾
(
とつ
)
くに見えなければならぬ筈のカニョーフの
市
(
まち
)
が見えなかつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
疾
常用漢字
中学
部首:⽧
10画
“疾”を含む語句
疾風
疾病
疾走
病疾
口疾
疾患
疾駆
疾風迅雷
疾呼
痔疾
気疾
疾足
疾駈
瘧疾
疾苦
速疾
疫疾
癈疾
疾視
目疾
...