燐寸まつち)” の例文
一寸ちよつとたまへ」とつて、燐寸まつち瓦斯ガス煖爐だんろいた。瓦斯ガス煖爐だんろへや比例ひれいしたごくちひさいものであつた。坂井さかゐはしかるのち蒲團ふとんすゝめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
屋臺店をやゝ大きくした程の停車場ステーシヨンを通り拔けると、小池は始めて落ちついた心持ちになつたらしく、燐寸まつちつてゆツたりと紙卷煙草かみまきたばこを吹かした。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
説明せつめい形容けいようなにもない——燐寸まつちるといなや、アルコールにをつけるのであるから、言句ごんくもない。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みづから燐寸まつちを擦つて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
燐寸まつち
今日けふは休養だ。此間中このあひだぢううもいそがすぎて降参したから」と誠吾は火の消えた葉巻はまきくちに啣えた。代助は自分のそばにあつた燐寸まつちつてつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
燐寸まつちつて蝋燭らふそくともして、それを臺所だいどころにあつた小桶こをけなかてゝ、ちやたが、つぎ部屋へやには細君さいくん子供こどもてゐるので、廊下傳らうかづたひに主人しゆじん書齋しよさいて、其所そこ仕事しごとをしてゐると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)