たい)” の例文
りたてのかべ狹苦せまくるしい小屋こや内側うちがはしめつぽくかつくらくした。かべつち段々だん/\かわくのが待遠まちどほ卯平うへい毎日まいにちゆかうへむしろすわつてたいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
戴きましょうだが、毎月その扶持米をしらげてもらいたい。モ一つついでにその米をめしか粥にたいて貰いたい。イヤ毎月と云わずに毎日もらいたい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
火をたいている青い烟は微かに棚曳たなびいて深山みやまの谷に沈んでいる。一人の悪者は、捕われた男の前に立って両腕を組んでいる。この間互に一言も言い交わさなかった。
捕われ人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「危いではありませんか」といいますと、「私は目で見ないで、勘でするのだから」と、なるほど上手になさいます。「渋皮はそっちで剥いて、御飯にたいておくれ」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
中々元気がくて、大阪についたその時に、私は中津屋敷の空長屋あきながやを借用して独居自炊、すなわち土鍋でめしたいくって、毎日朝から夕刻まで緒方の塾に通学して居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ソレどころではない、荷物をからげて田舎に引越ひっこすとうような者ばかり、手まわしのい家ではかまど銅壺どうこまではずして仕舞しまって、自分は土竈どべっついこしらえて飯をたいて居る者もある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)