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火焔
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ほのお
ふりがな文庫
“
火焔
(
ほのお
)” の例文
その死骸をすぐには取り片付けようともしないで、残る大勢はまだ消えやらない
火焔
(
ほのお
)
のまわりを幾重にも取り囲んでいるらしかった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かれらの心が永く秘められていた
火焔
(
ほのお
)
の舌のように、言葉となってあらわれ出るときには、情熱の燃ゆるがままに恋を語ることさえもあった。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
被
(
かずき
)
の外へ
躍出
(
おどりい
)
でて、
虚空
(
こくう
)
へさっと
撞木
(
しゅもく
)
を
楫
(
かじ
)
、
渦
(
うずま
)
いた風に乗って、
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
の
狂
(
くる
)
いが
火焔
(
ほのお
)
のように
飜
(
ひるがえ
)
ったのを、よくも見ないで
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてほかの雲は赤か、金色か、
火焔
(
ほのお
)
のやうで、又ほかの雲は灰色で、又別なのは真黒だ。色も見てゐる中に変つてゆく。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
そして二人が寝ておる寝室に赤い
火焔
(
ほのお
)
が迫った時わしは笑うた……二人は死んだのだ、コルマックとアイリイが
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
▼ もっと見る
銅製の燭台に輝いている青白い
火焔
(
ほのお
)
は、あるかなきかの薄い光りを暗い室内に投げて、その光りはあちらこちらに家具や
蛇腹
(
じゃばら
)
の壁などを見せていました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
私たちの前で天と地が裂けて、神様のお眼の光りと、地獄の
火焔
(
ほのお
)
が
一時
(
いっとき
)
に
閃
(
ひら
)
めき出たように思われました。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
周囲四丈八尺ある門前の
巨杉
(
おおすぎ
)
の下には、お祭りの名残りの
塵芥
(
じんかい
)
や落葉が
堆
(
うずたか
)
く掻き集められて、誰が火をつけたか、
火焔
(
ほのお
)
は揚らずに、浅黄色した煙のみが
濛々
(
もうもう
)
として
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その姿の幽婉な揺れ方は、白燃の
火焔
(
ほのお
)
だけを薪から離して水の上に放ったようでもございます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこでその
季節
(
シーズン
)
を二人で暮らしたが、その年の終わるころに私のこのくだらない恋愛の
火焔
(
ほのお
)
は燃えつくして、
悼
(
いた
)
わしい終わりを告げてしまった。私はそれについて別に弁明しようとも思わない。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
かく記せる間に
火焔
(
ほのお
)
ははや消えんとす、余の脚は爪先よりすでに凍り始めたり、手の指ももはやきかずなれり、これにて筆を止めん、幸いに余のポケットには今なお残れる一瓶のビールあれば
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
余儀ない旅の思立から、身をもって僅に逃れて行こうとするような彼は、丁度捨て得るかぎりのものを捨て去って「
火焔
(
ほのお
)
の家」を出るという
憐
(
あわ
)
れむべき
発心者
(
ほっしんしゃ
)
にも彼自身を
譬
(
たと
)
えたいのであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そうだ、
此奴
(
こいつ
)
は自分の子供じゃない。やっぱり
他人
(
ひと
)
の子であったのだ——と思うと、眼の前が急にまっ暗になった。炉に燃えさかっている
火焔
(
ほのお
)
が胸に突き入って、肉を灼きただらせるのを感じた。
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
王鬼
火焔
(
ほのお
)
を吐きて
悦
(
よろこ
)
ぶこと限りなく
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その後、張の家は火災に逢って全焼したが、その燃え盛る
火焔
(
ほのお
)
のなかから、一羽の鷹の飛び去るのを見た者があるという。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わたしの全身に燃えている
火焔
(
ほのお
)
を彼女の冷たい
亡骸
(
なきがら
)
にそそぎ入れたいと、無駄な願いを起こしたりしました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
赫
(
かく
)
かくたる地獄の
火焔
(
ほのお
)
をふくものは、二つの感情の物凄いもつれである。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
すべての男性に、ネサは
光明
(
ひかり
)
であり
火焔
(
ほのお
)
でおありなされました。
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
重太郎は
燐寸
(
まっち
)
を
有
(
も
)
っていた。
有合
(
ありあ
)
う枯枝や落葉を積んで、手早く燐寸の火を
摺付
(
すりつ
)
けると、
溌々
(
ぱちぱち
)
云う音と共に、
薄暗
(
うすぐろ
)
い煙が渦巻いて
颺
(
あが
)
った。つづいて紅い
火焔
(
ほのお
)
がひらひら動いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それと同時に二本の大きい
蝋燭
(
ろうそく
)
が地上にあらわれて、くれないの
火焔
(
ほのお
)
が昼のようにあたりを照らすかと見るうちに、大勢の家来らしい者どもが緋の着物をきた人を警固して来た。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山の上に火が起って、
烟
(
けむ
)
りや
火焔
(
ほのお
)
が高く舞いあがり、人馬の物音や
甲冑
(
かっちゅう
)
のひびきが
物
(
もの
)
騒がしくきこえたので、さては賊軍が押し寄せて来たに相違ないと、いずれも俄かに用心した。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼女はその蛇の首をつかんで穴からずるずるとひき出すと、蛇は二つに裂けた紅い舌を
火焔
(
ほのお
)
のようにへらへらと吐き出しながら、お絹の痩せた手首へたわむれるように
絡
(
から
)
みついた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と思うと、たちまちに
火焔
(
ほのお
)
のような舌を吐きながら、蛇吉の方へ向ってざらざらと走りかかって来たが、第一線も第二線もなんの
障碍
(
しょうがい
)
をなさないらしく、敵はまっしぐらにそれを乗り越えて来た。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“火焔”の意味
《名詞》
火 焔(かえん 「火炎」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
ほのお。
(出典:Wiktionary)
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
焔
漢検準1級
部首:⽕
11画
“火焔”で始まる語句
火焔独楽
火焔放射器
火焔菜
火焔車
火焔斧
火焔旗
火焔木
火焔樹
火焔舞
火焔頭