“ほのお”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
71.3%
14.2%
7.1%
火焔4.8%
火炎1.0%
0.3%
0.3%
火燄0.3%
炎焔0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
……麓にぱっとちりのような赤いほのおが立つのを見て、えみを含んで、白雪は夜叉ヶ池に身を沈めたというのを聞かぬか。忘れたか。汝等。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがて身のたけ二丈ばかりの鬼が現れて、口からほのおを吹きながら夫婦を苦しめるかと思うと、気高けだかい老僧が出て来て鬼を追い拂った。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そこはまだ濃密な煙に包まれてい、倒れた倉の残骸を、だいだい色のほのおめていたし、穀物の焦げる香ばしい匂いが、せるほど強く漂っていた。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かれらの心が永く秘められていた火焔ほのおの舌のように、言葉となってあらわれ出るときには、情熱の燃ゆるがままに恋を語ることさえもあった。
グッと反対心敵対心の火炎ほのおを挙げるものである。ここまでは好くない顔はしていても、別に逆らうでもなく、聞流しに聞いていた定基も、ここに至って爆発した。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
こりゃ不思議? ……光はあるがほのおが立たぬ! ……息づきもせぬ、生命いのちがない! ワッハッハッ、火ではないわい! 飛天夜叉めのまどわしじゃ!
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
枝葉が揺れ、病葉わくらばが舞い落ち、焚火が靡き、草がひるがえり、そうして姥の白髪と白衣とが、白いほのおのようにひらめいた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この頃デビーはほのおの研究をしていた。これは鉱山で、よくガスが爆発して、礦夫の死ぬのを救わんため、安全灯を作ろうという計画なのである。ファラデーもこれを手伝った。
不動尊の背負しょって居らるる伽婁羅炎かるらえんという火は魔が逃げれば逃げるだけ其火燄ほのおが伸びて何処までも追駈けて降伏ごうぶくさせるというが、嫉妬しっとの火もまた追駈ける性質があるから
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
窟の入口には薄黒い獣の生皮なまかわを敷いて、エッキスという字のように組まれた枯木と生木なまきとが、紅い炎焔ほのおや白いけむりを噴いていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あるいはまた津田君の寡黙な温和な人格の内部に燃えている強烈な情熱のほのおが、前記の後期印象派画家と似通ったところがあるとすれば猶更なおさらの事であろう。
それにはほのおがあって五色のあやをつくり、その光は空間を照らしていた。鬼は曾を鞭で敲いてその輪に登らした。曾はしかたなしにそれに登った。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)