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滴
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たら
ふりがな文庫
“
滴
(
たら
)” の例文
平次はその酒を嗅いでみましたが、もとより何んの臭ひがあるわけではなく、
掌
(
て
)
に
滴
(
たら
)
して
嘗
(
な
)
めて見ても、味に何んの變りもありません。
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
滑らかな
石砥
(
いしど
)
に油を
滴
(
たら
)
して、その上に靜かにメスを走らせながら、彼れは刃物と石との間に起るさゝやかな音にぢつと耳をすましてゐた。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
と
硝盃
(
コツプ
)
へ
先
(
さき
)
に水を
入
(
い
)
れて、ポタリ/\と
壜
(
びん
)
の口を
開
(
あ
)
けながら
滴
(
たら
)
すのだが、
中々
(
なか/\
)
素人
(
しろうと
)
にはさう
旨
(
うま
)
く
出来
(
でき
)
ない、二十
滴
(
てき
)
と思つた
奴
(
やつ
)
が六十
滴
(
てき
)
許
(
ばかり
)
出た。殿
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そは餅を小さく切りこんがりと焼き湯に漬けて柔になし椀に盛りて大根
卸
(
おろ
)
しを懸け砂糖を少しく振り焼海苔を細く揉みてかけ醤油を少しく
滴
(
たら
)
して食す。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
形体
(
なり
)
は私が寝ていて想像したよりも大きかったが、果して全身雨に濡れしょぼたれて、泥だらけになり、だらりと垂れた割合に大きい耳から
雫
(
しずく
)
を
滴
(
たら
)
し
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
爺さんは玉の汗をぽたぽた
滴
(
たら
)
しながら、今まで一度も口をきいたことのないわたくしに、幾度となく礼を言った。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私はそのひとたらしもない薬液を、口の中へ
滴
(
たら
)
しこんだ。それはたいへん
苦
(
にが
)
い薬だった。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「お
駒
(
こ
)
ちやん、矢ツ張り蝋燭やなア。」と定吉は、匂ひを嗅いだだけでは諦められぬらしく、マッチを擦つて火を點けてみて、板の間へ一たらし
滴
(
たら
)
した熱い蝋で其の蝋燭の尻を据ゑて
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
心持ち顔を
反
(
そむ
)
けながら、脱脂綿の一片の上にポトポトと
滴
(
たら
)
しました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
血を
滴
(
たら
)
し、とどろと
奔
(
はし
)
る。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どうして? あの顔や、様子は、浪子夫人そっくりじゃないか、浪子夫人が
離屋
(
はなれ
)
へ忍び込んで、うたた寝をして居る夫の口へ青酸を
滴
(
たら
)
し込んで、鍵を
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
牛乳を
沸
(
に
)
てその中へ梅や桃の液を
滴
(
たら
)
すと牛乳中の脂肪が水分と分離して白い
固形
(
かたまり
)
になる。それと似たように鰻の毒分へ何か化学作用を起すのに違いない。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
悪獣の
蹠
(
あなうら
)
のごと血を
滴
(
たら
)
す。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「自分の首へ凧糸を巻いて、その凧糸の上から、存分に水を
滴
(
たら
)
し込んだというわけでしょう、——冷たいことだね」
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
用ゆる時は
鉄網
(
てつあみ
)
の上へ魚を載せて今のサラダ油とバターとを
更
(
かわ
)
る
更
(
がわ
)
る匙で
滴
(
たら
)
しながら火の
徹
(
とお
)
るように焼きます。もしや魚の
脂
(
あぶら
)
が火へ落ちて燃え上ったらば塩を少し火の中へ入れると燃えが
熄
(
や
)
みます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
直
(
す
)
ぐ近くにある水道の口から、指の先へ水を一滴受けて来て、それを十銭の白銅貨の穴へ
滴
(
たら
)
し込むと、水の
滴
(
したた
)
りがそのまま穴を塞いで簡単なレンズが出来上ります。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう一度その上へ水を
滴
(
たら
)
し込んで、水の膜を真ん中で盛り上るようにさせた上、一生懸命十銭玉の穴から、指環の文字を覗いて居た加奈子は、思わず喜びの声をあげました。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「戸板を
背負
(
せお
)
はせて寢かした横井の口を、
鑿
(
のみ
)
か何かで無理にコジ開け、あのギヤーマンの瓶から毒藥を横井の口中に
滴
(
たら
)
し込んだに違ひあるまい、横井の前齒が二本缺けて居たのはその爲だ」
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“滴”の意味
《名詞》
(しずく)空中や物の表面にある球状となった少量の液体。
(出典:Wiktionary)
滴
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“滴”を含む語句
点滴
一滴
雨滴
滴々
涓滴
水滴
滴水
墨汁一滴
余滴
點滴
滴点
滴垂
二滴
下滴
散滴
油滴
滴水和尚
滴血
滴雫
血一滴
...