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深潭
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しんたん
ふりがな文庫
“
深潭
(
しんたん
)” の例文
……深淵にして神!
深潭
(
しんたん
)
にして神! 存在の火炉! 生命の
颷風
(
ひょうふう
)
! 生の激越のための——目的も
制軛
(
せいやく
)
も理由もなき——生の狂乱!
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その本流と
付知
(
つけち
)
川との合流点を右折して、その支流一名
緑
(
みどり
)
川を
遡航
(
そこう
)
する
舷
(
ふなべり
)
に、早くも照り映ったのは
実
(
じつ
)
にその
深潭
(
しんたん
)
の
藍碧
(
らんぺき
)
であった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
山牢のある
瘤山
(
こぶやま
)
の
裾
(
すそ
)
は、
覗
(
のぞ
)
き
滝
(
だき
)
の
深潭
(
しんたん
)
から
穴吹
(
あなふき
)
の渓谷へ落ちてゆく流れと、十数丁にあまる
柵
(
さく
)
が、そこの地域を囲っている。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
箒川
(
はうきがわ
)
の谷もかなりに上流まで行つた。
大谷
(
だいや
)
の谷もあの
深潭
(
しんたん
)
から華厳の
瀑壺
(
たきつぼ
)
まで行つた。吾妻川の谷にも深く入つて行つた。
水源を思ふ
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
両岸には
蒼潤
(
さうじゆん
)
の山が迫り、怪石奇巌
駢
(
なら
)
び立つて、はげしい曲折の水が流れては急渓、湛へては
深潭
(
しんたん
)
——といつた具合で、田山先生も
曾遊
(
そういう
)
の地らしく、
耶馬渓
(
やばけい
)
などおよびもつかない
故郷に帰りゆくこころ
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
▼ もっと見る
オリットの
小舎
(
こや
)
に着いた、私が恐い、怖ろしい
念
(
おも
)
いをしながらも、もう一遍後髪を引かれて見たいとおもった小舎の前の
深潭
(
しんたん
)
は、浅瀬に変って、水の色も、いやに白っちゃけてしまった。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
その残酷な馭者との直下の眼下から
深潭
(
しんたん
)
のように広漠とした夢魔を堪えていた。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
それにまた身のほど知らぬ
自惚
(
うぬぼ
)
れもあり、人の制止も聞かばこそ、なに大丈夫、大丈夫だと
匹夫
(
ひっぷ
)
の勇、泳げもせぬのに
深潭
(
しんたん
)
に飛び込み、たちまち、あっぷあっぷ、眼もあてられぬ有様であった。
困惑の弁
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
さすがにかの欧米の天に
雷
(
らい
)
の如く響きわたりたる此等楽聖が
深潭
(
しんたん
)
の胸をしぼりし
天籟
(
てんらい
)
の遺韻をつたへて、耳まづしき我らにはこの一小機械子の声さへ、猶あたゝかき天苑の余光の如くにおぼえぬ。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
こうして急流は変じて
深潭
(
しんたん
)
となり、山峡の湖水となり、岩はその根を没して
重畳
(
ちょうじょう
)
奇峭
(
きしょう
)
の
趣
(
おもむき
)
を
少
(
すくな
)
からず減じてしまったと聞いた。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
なぜかといえば、つるぎ山
覗
(
のぞ
)
き滝の
深潭
(
しんたん
)
から
穴吹川
(
あなふきがわ
)
へ落ちてゆく激流が、とうとうと
飛沫
(
ひまつ
)
を散らしている上に、その岩壁に添って、
瘤山
(
こぶやま
)
の瀬をグルリと
柵
(
さく
)
でめぐらしてあるからである。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まさしく
瑠璃
(
るり
)
の、
群青
(
ぐんじょう
)
の
深潭
(
しんたん
)
を
擁
(
よう
)
して、赤褐色の
奇巌
(
きがん
)
の
群々
(
むれむれ
)
がかっと反射したところで、しんしんと
沁
(
し
)
み入る
蝉
(
せみ
)
の声がする。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
深潭
(
しんたん
)
にちららちららと
白雪
(
しらゆき
)
のけはひつめたく沈む人かも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
深潭
(
しんたん
)
の崖の上なる
紅躑躅
(
あかつつじ
)
二人ばつかり照らしけるかも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“深潭”の意味
《名詞》
水深が深い淵。深淵。
(出典:Wiktionary)
深
常用漢字
小3
部首:⽔
11画
潭
漢検1級
部首:⽔
15画
“深”で始まる語句
深
深山
深傷
深淵
深更
深切
深川
深夜
深々
深沈