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涙脆
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なみだもろ
ふりがな文庫
“
涙脆
(
なみだもろ
)” の例文
真剣に言っても浮気に取られるのが
口惜
(
くや
)
しい、わたしだって時と場合によれば、ずいぶんこれで
涙脆
(
なみだもろ
)
いことがありますのよ。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お種は三吉の方を振返って見て、「お仙はこれで極く
涙脆
(
なみだもろ
)
いぞや。兄さんに何か言われても直に涙が出る……」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それを
物
(
もの
)
を
單純
(
たんじゆん
)
に
考
(
かんが
)
へる
人
(
ひと
)
は、
悲觀的
(
ひかんてき
)
だ
涙脆
(
なみだもろ
)
い
氣持
(
きも
)
ちだといつて、いけないものとしてゐるが、
人間
(
にんげん
)
はいつもにこ/\
笑
(
わら
)
つてゐるものばかりのものではありません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
人一倍
涙脆
(
なみだもろ
)
くて、思ひやりのある平次が、ケロリとしてこんな事を言ふ心持が解らなかつたのです。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(それに不思議はない筈だ。涙は亭主の生きてゐる
間
(
うち
)
に、みんな絞り出してしまつたのだから。)そんな
輩
(
てあひ
)
は
涙脆
(
なみだもろ
)
い女を見つけて、一瓶幾らといふ値段で涙を買取つて
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
ある
在方
(
ざいかた
)
へくれる話を取り決めて、先方の
親爺
(
おやじ
)
がほくほく引き取りに来た時、
尫弱
(
ひよわ
)
そうな
乳呑
(
ちの
)
み
児
(
ご
)
を手放しかねて
涙脆
(
なみだもろ
)
い父親が泣いたということを、母親からかつて聞かされて
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
具
(
つぶさ
)
に申ければ權三は一
體
(
たい
)
涙脆
(
なみだもろ
)
き男なるが助十に
對
(
むか
)
ひ何と
此御若衆
(
このおわかいしゆ
)
が鈴ヶ森に居たる時に
我々
(
われ/\
)
通掛
(
とほりかゝ
)
るも
不思議
(
ふしぎ
)
又
(
また
)
鈴
(
すゞ
)
ヶ
森
(
もり
)
にて小便を
爲
(
する
)
時彦兵衞殿の
咄
(
はなし
)
をしたも
是
(
これ
)
神佛
(
かみほとけ
)
の
御引合
(
おんひきあはせ
)
にて
其孝心
(
そのかうしん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
神様といふものは随分費用のかゝるものだが、その中で
新教
(
プロテスタント
)
の神様は
質素
(
じみ
)
で倹約で
加之
(
おまけ
)
に
涙脆
(
なみだもろ
)
いので
婦人
(
をんな
)
には愛される
方
(
ほう
)
だが、余りに
同情
(
おもひやり
)
があり過ぎるので、時々困らせられる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『昔風に亭主に
便
(
たよる
)
といふ風で、どこまでも我輩を信じて居た』といふ女の若い時は——いづれこのお志保と同じやうに、情の深い、
涙脆
(
なみだもろ
)
い、見る度に別の人のやうな
心地
(
こゝろもち
)
のする
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
罪のない子役のませた
仕草
(
しぐさ
)
は、
涙脆
(
なみだもろ
)
い
桟敷
(
さじき
)
の
婦人
(
をんな
)
客を直ぐ泣かせる事が出来るので、横着な
興行師
(
しうち
)
や
俳優
(
やくしや
)
やは、成るべく
年端
(
としは
)
も
往
(
ゆ
)
かない、柄の小さい子役を舞台に立たせようとする。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
花の型のある紙を
切地
(
きれぢ
)
に
宛行
(
あてが
)
ったり、その上から
白粉
(
おしろい
)
を塗ったりして置いて、それに添うて薄紫色のすが糸を運んでいた
光景
(
さま
)
が、唯
涙脆
(
なみだもろ
)
かったような人だけに、余計可哀そうに思われて来た。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
涙
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
脆
漢検準1級
部首:⾁
10画
“涙”で始まる語句
涙
涙含
涙香
涙声
涙腺
涙眼
涙痕
涙金
涙顔
涙珠