気恥きは)” の例文
旧字:氣恥
こう思うと、われわれの平生へいぜいは、ただ方便ほうべんしゅとすることばかりおおくて、かえってこの花前に気恥きはずかしいような感じもする。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そして、ただ自分じぶん野暮やぼがうらめしく、かなしく、気恥きはずかしくなって、ふかいためいきをつくのでした。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三千代の言葉ことばは丸で子供の様に無邪気であるけれども、両方のほゝは矢つ張り赤くなつてゐる。代助は、此女に斯んな気恥きはづかしい思ひをさせる、平岡の今の境遇を、甚だ気の毒に思つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女は、自分じぶん一人ひとりらしてゆけないから結婚けっこんをしたとも、気恥きはずかしくてもうされませんでした。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若者わかものは、天女てんにょのどこまでもやさしく、ただしいのに感心かんしんしました。そして、自分じぶんわるかったのをさとると、こうしてっているのさえ、なんとなく気恥きはずかしくなったのです。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねん気恥きはずかしいおもいがして、あななかへでもはいりたいようながしましたが、はや温泉場おんせんばへいって、病気びょうきをなおしてからはたらくということをかんがえると、ずかしいのもわすれて
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、正雄まさおは、自分じぶん行為こういたいして、気恥きはずかしさをかんぜずにはいられなかったのです。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
かあさんは、くつ小僧こぞうさんにたいして、こころからねぎらっていられました。かねは、いままで不平ふへいがましいことをいったのが、なんだか気恥きはずかしくかんじられて、かおあからめました。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
木立こだちは、さすがに、気恥きはずかしくかんぜずにはいられなかったのです。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねこは、こういわれると、さすがに気恥きはずかしかった。
小ねこはなにを知ったか (新字新仮名) / 小川未明(著)