此女このをんな)” の例文
此女このをんなくにかられてたのではない、江戸えどつたをんなか知れない、それは判然はつきりわからないが、なにしろ薄情はくじやうをんなだから亭主ていしゆおもてき出す。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
此女このをんなうへすわつて、むらさきをんなが、なゝめになよ/\とこしけた。おとしたもすそも、かゞめたつまも、痛々いた/\しいまでみだれたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「えゝ。出来できたの」と云つた。大きな黒いが、まくらいた三四郎の顔のうへに落ちてゐる。三四郎はしたから、よし子の蒼白あをしろひたひを見上げた。始めて此女このをんなに病院で逢つたむかしを思ひした。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
下女げぢよれてゐた醜女計みにくいをんなばかりをともなふてたので、さうして此女このをんなには乳呑兒ちのみごつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
三十ゑんどりの會社員くわいしやゐんつま此形粧このげうそうにて繰廻くりまわしゆくいゑうちおもへば此女このをんな小利口こりこう才覺さいかくひとつにて、良人おつとはくひかつてゆるやららねども、失敬しつけいなは野澤桂次のざわけいじといふ見事みごと立派りつぱ名前なまへあるをとこ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)