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横頬
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よこほゝ
彼はそれを四つに
裂いて、
醫者がしたやうに
白い
練藥を
腿の
上でガーゼへ
塗つて、
卯平の
横頬へ
貼つた
曝木綿でぐる/\と
卷いた。
この
雫に、
横頬を
打たれて、
腕組をして、ぬい、と
立つたのは、
草鞋を
吊つた
店の
端近に
踞んだ
山漢の
魚売で。三
枚の
笊に
魚鱗が
光つた。
手先の
火傷は
横頬のやうな
疼痛も
瘡痍もなかつたが
醫者は
其處にもざつと
繃帶をした。
與吉は
目ばかり
出して
大袈裟な
姿に
成つて
歸つて
來た。
與吉の
横頬は
皮膚が
僅に
水疱を
生じて
膨れて
居た。
彼は
其の
日の
機嫌が
惡かつた。
南の
女房は
其の
水疱に
頭髮へつける
胡麻の
油を
塗つてやつた。