りゅう)” の例文
りゅうという秀才があって試験に落第しての帰途、舟で洞庭湖まで来たが酒に酔ったのでそのまま舟の上に寝ていた。と、ふえの音が聞えて来た。
織成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
其のお開帳へ参詣した帰りがけで、四月の廿八日の夕方龜甲屋幸兵衞は女房のおりゅうを連れ、供の男に折詰の料理をげさせて、長二の宅へ立寄りました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれ清国しんこくの富豪りゅう氏の家なる、奥まりたる一室に夥多あまた人数にんずに取囲まれつつ、椅子にかかりてつくえに向えり。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貞固は妻てると六歳になるむすめりゅうとを連れて来て、百本ぐいの側につながせた舟の中にのこして置いて、独り上陸したのである。さて差当り保と同居するつもりだといった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その名はおりゅうという。これだけのことを聞かせてやるから、あとは貴様の思うようにしてみろ
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
重井をたずねて、身を托せんと思い立ちしに、その妾おりゅうのために一言いちごんにして跳付はねつけられ、むなく博士某のていに生みの母なる富子夫人を尋ぬれば、これまた面会すらも断わられて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「小林さんは珍客だが、この際は何うも仕方がない。おりゅうや、それじゃ小林さんにおしるこを御馳走して、皆もお相伴をするが宜い。我輩は遠方から見物して自ら慰めることにしよう」
閣下 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
参木と逢うべきはずの甲谷はトルコ風呂の湯気の中で、蓄音器を聴きながら、おりゅうに彼の脊中をマッサージさせていた。お柳は富豪の支那人の妾になりながら、この浴場の店主を兼ねた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
が、帰っても、さっそくの職はなし、さて、どうしたものと、りゅうに相談すると
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りゅう将軍から盧君に書面をお届け申す」
お小夜坊ではなくておりゅうでした。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「てっきりおりゅうさんですよ。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「乾物屋のおりゅう
矢川氏ではこの年文一郎が二十一歳で、本所二つ目の鉄物問屋かなものどいや平野屋のむすめりゅうめとった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
りゅう暗夜やみの中に悄然しょんぼりと立って、池にのぞんで、その肩を並べたのである。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文一郎は最初の妻りゅうが江戸を去ることを欲せぬので、一人の子を附けて里方へ還して置いて弘前へ立った。弘前に来た直後に、文一郎は二度目の妻をめとったが、いまだいくばくならぬにこれを去った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
更科さらしなりゅうさん、」
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)