枚挙まいきょ)” の例文
旧字:枚擧
碧瑠璃園へきるりえんも武蔵を書いているというし、遺墨集も刊行されているし、近年だけの武蔵に関する著述だけでも枚挙まいきょいとまがないといっていい。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誤って法網ほうもうれしを、無情にも長く獄窓に坤吟しんぎんせしむる等、現政府の人民に対し、抑圧なる挙動は、実に枚挙まいきょいとまあらず。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
この類の夢想を計れば枚挙まいきょいとまあらず。みな事の難易と時の長短とを比較せずして、時を計ること寛に過ぎ、事を視ることに過ぎたる罪なり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かの博士が、今日までに発明した超新兵器のかずかずは、文字どおり枚挙まいきょいとまあらず、読者の知って居られるものだけでも十や二十はあるであろう。
事実の骨子はおおむね『幽室文稿』『吉田松陰伝』より得きたる。その他参照にしたるもの枚挙まいきょいとまあらず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
古今の浮世絵にして男女相愛のさまを描きしもの枚挙まいきょいとまあらず。然れども春信の板画の如く美妙に看者かんしゃの空想をうごかすものはまれなり。春信の板画は布局ふきょく設色せっしょく相共あいともに単純を極む。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
近世の軍略において、攻城は至難なるものの一として数えらる。我が攻囲軍の死傷多きは怪しむに足らず。この二三ヶ月間に余が知れる将校の城下にたおれたる者は枚挙まいきょいとまあらず。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
半三郎はこのほかにも幾多の危険に遭遇そうぐうした。それを一々枚挙まいきょするのはとうていわたしのえるところではない。が、半三郎の日記の中でも最もわたしを驚かせたのはしもに掲げる出来事である。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
蕪村の句の絵画的なる者は枚挙まいきょすべきにあらねど、十余句を挙ぐれば
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
と安斉先生は三十年昔の下等なものを枚挙まいきょした。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
以上枚挙まいきょの件々はいずれもみな藩士常禄のほかに得るところのものなれども、今日こんにちいたりてはかかる無名間接の利益あることなし。藩士の困迫こんぱくする一の原因なり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
同様な目にあった公卿の家は枚挙まいきょにいとまがない。これらの下手人はもちろん武士でも下級武士の輩だった。主人がやっていることを見て、自分らもやってみたくなるのであろう。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国貞国芳と並びてこの時代に輩出したる歌川派の画工は国政くにまさ(文政七年歿、年三十八)国丸くにまる(文政年間歿、年三十余)国安くにやす(天保七年歿、年三十余)国長くになが(文政中歿、年四十三)国直くになお(安政元年歿、年六十二)等枚挙まいきょいとまあらず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
豊臣秀吉とよとみひでよしが織田信孝のぶたかの賊臣桑田彦右衛門くわたひこえもん挙動きょどうよろこばず、不忠不義者、世の見懲みごらしにせよとて、これを信考の墓前ぼぜんはりつけにしたるがごとき、是等これらの事例は実に枚挙まいきょいとまあらず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
法性寺ほっしょうじ関白、河原左大臣、宇治の平等院など例は枚挙まいきょにいとまもない。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このほか、筆にもしるしがたき語風の異同は枚挙まいきょいとまあらず。故に隔壁かくへきにても人の対話を聞けば、その上士たり、下士たり、商たり、農たるの区別はあきらかに知るべし。(風俗を異にす)
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
枚挙まいきょにいとまがないくらいであった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この他、平日にても普請ふしんといい買物といい、また払物はらいものといい、経済の不始末ふしまつは諸藩同様、枚挙まいきょいとまあらず。もとより江戸の町人職人の金儲かねもうけなれども、その一部分は間接に藩中一般のにぎわいたらざるを得ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「吉宗公の御代になっては、そんな例は一つもないが、前代、前々代の綱吉公の頃などには、例は、枚挙まいきょにいとまのない程ある。大官の違法、大奥の醜事など、おたがい、闇の見て見ぬ振りに、驚くべきほどな非行も、それなりに済んでおる」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
およそ是等をかぞうれば枚挙まいきょいとまあらず。