日延ひのべ)” の例文
明日の晩実は柳橋で御馳走になる約束があるのだが一日だけ日延ひのべしてはくれまいかと願って見たとて鬼の事だからまさか承知しまいナ。
(新字新仮名) / 正岡子規(著)
「待てよ。五月の末だなあ。俺は大丈夫と見た。もし暑かつたら成るべく曇つたやうな日を見立てゝ結婚するんだネ。晴天日延ひのべとやるか。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
桂屋太郎兵衛の刑の執行は、「江戸へ伺中うかがいちゅう日延ひのべ」ということになった。これは取り調べのあった翌日、十一月二十五日に町年寄まちどしよりに達せられた。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
どうも全く孝助はらないようにございます、お腹立はらだちの段は重々御尤ごもっともでござりますが、お手打の儀は何卒なにとぞ廿三までお日延ひのべの程を願いとう存じます
いだしてなるものかといふうちに早三日立て呼出の日と成り双方さうはう罷出まかりいでしに勘兵衞其方は何故金子調達致さぬぞ今日中に彦兵衞へ渡せと有りし時おほせごと樣々さま/″\才覺さいかく仕つれども急にとゝのひ候はず何卒日延ひのべの儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お屋敷へ持参致す心得でございますからどうかめて一月ひとつきもお日延ひのべが出来れば願いたいものでございます
大切の大小なれば流しては成ぬ品なり是非共受出うけいだすにより今一兩日まつて下されといふに小僧はそれでも御前樣まへさま來る度に日延ひのべばかりの御口上今日も又一兩日と仰せでは使に來た私しがこまります其度にわからない使を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
桂屋太郎兵衞の刑の執行は、「江戸へ伺中うかゞひちゆう日延ひのべ
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
源「どうかお手打のところは御勘弁を願います、へい又何者にかだまされましたか知れませんから、とくと源助が取調べ御挨拶を申上げまするまでお手打の処はお日延ひのべを願いとう存じます」
成るなら止めおきますが餘り段々日延ひのべに成ばかりに付利上でもなければ然々さう/\止置とめおくわけには參りません今丁度流れ買が來てりますから賣拂うりはらはうと思ひますがどうなされますか一寸聞ていと申しました文右衞門樣どうなされますと小僧は足元から鳥のたつやう火急くわきふ催促さいそくに來りければ大橋は甚だ當惑たうわくていにて然樣さやうかなと暫時しばしかんがへしがいやかくあれは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)