旅客りよきやく)” の例文
となり旅客りよきやくは、何處どこから乘合のりあはせたのかかれはそれさへらぬ。うへ雙方さうはうとも、ものおもひにふけつて、一言葉ことばかはさなかつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかし歐米おうべい旅客りよきやく日本にほんて、地震ぢしんのおほいのにおどろくと同時どうじに、日本にほん家屋かをくが、こと/″\く軟弱なんじやくなる木造もくざうであつて、しかも高層建築かうそうけんちくのないのを
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
まさか仏蘭西フランス人はこれ等の放逸な歓楽をもつて外国の旅客りよきやく巴里パリイに招致しようとするのでもありますまい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「はゝあ、」と歎息たんそくするやうにつたときの、旅客りよきやく面色おもゝち四邊あたり光景くわうけい陰々いん/\たるものであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これ等の賤劣せんれつなる婦人と交際する男子を仏蘭西フランスの道徳が排斥するのは日本の其れと同じであらう。さうして自分の驚く事はそれ等の娼婦の需用者がおほむね英米其他そのたの諸外国よりきたれる旅客りよきやくである事である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
分間ふんかん停車ていしやいて、昇降口しようかうぐちを、たうげ棧橋かけはしのやうな、くもちかい、夕月ゆふづきのしら/″\とあるプラツトフオームへりた一人旅ひとりたび旅客りよきやくが、恍惚うつとりとしたかほをしてたづねたとき立會たちあはせた驛員えきゐんは、……こたへた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)