うっ)” の例文
ひどく剛情を張るような事があれば、父母の顔色をむずかしくして睨む位が頂上で、如何いかなる場合にも手をくだしてうったことは一度もない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
こりゃ、なんねえ、しょことがない、ともううっちゃらかして、おさえて突立つったってびくびくして見ていたらな。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
激浪岸をうって高く、砂礫白泡とともに往来する所、ベスホレンの凱歌、ダムバーの砲声、ともに余の勇気を鼓舞するあり、然り余は無教会にはあらざるなり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
僕がしっかり抑えているから乗りたまえ、おっとそう真ともに乗ってはひっくり返る、そら見たまえ、膝をうったろう、今度はそーっと尻をかけて両手でここを握って、よしか
自転車日記 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
怪物がわめいて、静かな、広い野を地響をうって来た時、眠っている草、木、家は眼醒めた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
難有ありがとう御座います。それで僕も安心しました。イヤまことに失礼しました匆卒いきなり貴様をとがめまして……」と彼は人をおしつけようとする最初の気勢とはうって変り、如何いかにも力なげにわびたのを見て
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
途中において護送者が男は陰嚢いんのう女はちちうって即死せしめ、死骸を路傍の穴へ蹴込けこみて、落着らくちゃくせしむる事あり、ある時亭主殺しの疑いある女にて、繋獄けいごく三年に及ぶも証拠あがらずさればとて追放にもなし難く
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
八角に削成けずりなして二百八十八銀星ぎんのほしうったる
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
全体私は骨格からだは少し大きいが、本当は柔術も何も知らない、生れてから人をうったこともない男だけれども、その権幕はドウも撃ちそうなつかみ掛りそうな気色けしき
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「僕に怒ったって仕方がない。なあに小供だあね、うっちゃっておけばいいさ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大きさは約四尺もあろう、真黒で頭の大きい何とも分らぬ怪物かいぶつだ、流石さすがの悪僧も目前にこんなあやしみを見て深く身の非を知りその夜住職をおこしてこの事を懺悔ざんげし、その後はうって変って品行を謹しみ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
オルマッヅの金をうって腕輪となして彼を飾るも神はなお足らずとなし、別に我らの知らざる結晶体を造り、金にまさる鉱物を製し、彼を粧いつつあるならん、然りこの地は美にしてその富は大なり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
上野ではどん/″\鉄砲をうって居る、けれども上野と新銭座とは二里も離れて居て、鉄砲玉のとんで来る気遣きづかいはないと云うので、丁度あの時私は英書で経済エコノミーの講釈をして居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)