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憤
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いきどおり
ふりがな文庫
“
憤
(
いきどおり
)” の例文
おしまいまで読み終った俺は、烈しい嫉妬と
憤
(
いきどおり
)
とを感ずると同時に、突き放されたような深い淋しさを、感ぜずにはおられなかった。
無名作家の日記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
台所の
豪傑儕
(
ごうけつばら
)
、
座敷方
(
ざしきがた
)
の
僭上
(
せんじょう
)
、
栄耀栄華
(
えようえいが
)
に
憤
(
いきどおり
)
を発し、しゃ討て、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
小褄
(
こづま
)
の前を
奪取
(
ばいと
)
れとて、
竈
(
かまど
)
将軍が
押取
(
おっと
)
った
柄杓
(
ひしゃく
)
の采配、火吹竹の貝を吹いて、鍋釜の鎧武者が
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すべての
怨
(
うらみ
)
、すべての
憤
(
いきどおり
)
、すべての
憂
(
うれい
)
と
悲
(
かなし
)
みとはこの
怨
(
えん
)
、この憤、この憂と悲の極端より生ずる
慰藉
(
いしゃ
)
と共に九十一種の題辞となって今になお
観
(
み
)
る者の心を寒からしめている。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目科は夫を詰らぬ事と言い無理に余を
遮
(
さえぎ
)
らんとす、余はむッとばかりに
憤
(
いきどおり
)
しかども目科は眼にて余を叱り、二言と返させずして
匆々
(
そこ/\
)
倉子に分れを告げ、余を
引摺
(
ひきず
)
らぬばかりにして此家を
起立
(
たちいで
)
たり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
悪魔を八裂きにして、その肉を
啖
(
くら
)
ってもあきたりない
憤
(
いきどおり
)
を感じた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
瑠璃子が、入って来れば、
此
(
こ
)
の押え切れない
憤
(
いきどおり
)
を、彼女に対しても、
洩
(
もら
)
そう。白痴の子を
弄
(
もてあそ
)
んでいるような、彼女の
不謹慎
(
ふきんしん
)
を思い切り責めてやろう。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
怨
(
うらみ
)
と、
僻
(
ひがみ
)
と
憤
(
いきどおり
)
とをもって見た世に対して、
謂
(
い
)
わば
復讎
(
ふくしゅう
)
的に
己
(
おのれ
)
が腕で幾多
遊冶郎
(
ゆうやろう
)
を活殺して、その
肉
(
み
)
を
啖
(
くら
)
い、その血を
嘗
(
な
)
むることをもって、精魂の痛苦を
癒
(
いや
)
そうとしたが
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そう云いながら、荘田は得々として、瑠璃子の手紙を直也に突き付けたとき、彼の心は火のような
憤
(
いきどおり
)
と、恋人を奪われた墨のような
恨
(
うらみ
)
とで、狂ってしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
銑吉は話すうちに、あわれに伏せたお誓の目が、
憤
(
いきどおり
)
を含んで、
屹
(
きっ
)
として、それが無念を引きしめて、一層青味を帯びたのに驚いた——思いしことよ。……悪魔は、お誓の身にかかわりがないのでない。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
而
(
しか
)
も美しい彼女の前に出ると、唖のようにたわいもなく、黙り込む自分だった。自分は
憤
(
いきどおり
)
と
恨
(
うらみ
)
との
為
(
ため
)
にわな/\
顫
(
ふる
)
えながら而も指一本彼女に触れることが出来なかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「用があるんですか。」と、
憤
(
いきどおり
)
はまだ消えず
冷
(
ひやや
)
かに答えた。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
憤
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“憤”を含む語句
憤々
憤怒
憤然
御憤
憤懣
鬱憤
憤激
欝憤
憤怨
義憤
憤恨
憤恚
発憤
憂憤
憤気
憤慨
悲憤
余憤
悲憤慷慨
大憤慨
...