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悄々
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すごすご
ふりがな文庫
“
悄々
(
すごすご
)” の例文
「奥州へ帰るがよいと、きついご不興をうけ、お詫びいたしたが、お聞入れもない。……で、
悄々
(
すごすご
)
、そちに相談に来たわけだが」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綱利は甚太夫を賞するために、五十
石
(
こく
)
の加増を命じた。兵衛は
蚯蚓腫
(
みみずばれ
)
になった腕を
撫
(
な
)
でながら、
悄々
(
すごすご
)
綱利の前を退いた。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
親類の方は相談が纏まらないで
午
(
ひる
)
過ぎにお才は
悄々
(
すごすご
)
と帰って来ると、店にも奥にも多左衛門の姿は見えなかった。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は
悄々
(
すごすご
)
停車場前の休憇処に
入
(
い
)
りて奥の一間なる
縞毛布
(
しまケット
)
の上に
温茶
(
ぬるちや
)
を
啜
(
すす
)
りたりしが、
門
(
かど
)
を出づる折受取りし三通の郵書の
鞄
(
かばん
)
に打込みしままなるを、この時
取出
(
とりいだ
)
せば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そんな争いの後に、お島は言葉巧な青柳につれられて、また
悄々
(
すごすご
)
と家を出て行ったのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
文三また
慄然
(
ぶるぶる
)
と震えてまた蒼ざめて、
口惜
(
くちお
)
しそうに奥の間の方を
睨詰
(
にらみつ
)
めたまま、暫らくの間
釘付
(
くぎづ
)
けに
逢
(
あ
)
ッたように
立在
(
たたずん
)
でいたが、やがてまた気を取直おして
悄々
(
すごすご
)
と出て参ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
悄々
(
すごすご
)
玄関へ戻って、お嬢さんは、と取って置きの頼みの綱を引いて見ると、これは、以前奉公していた
女中
(
おんな
)
で、四ッ谷の方へ
縁附
(
かたづ
)
いたのが、一年ぶりで無沙汰見舞に来て、一晩御厄介になる
筈
(
はず
)
で
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
受取り
悄々
(
すごすご
)
と帰り去る。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
悄々
(
すごすご
)
「さんた・るちや」の門を出る「ろおれんぞ」の後姿を、貪るやうにきつと見送つて居つた。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
などと自分から人前に恥をさらし、揚句に片輪者にされて
悄々
(
すごすご
)
引っ込むような愚かなまねを——敢て自分からすすんで求めるような馬鹿者はいないのだ、という説明であった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お島は
煩
(
うるさ
)
そうに顔を
顰
(
しか
)
めていたが、小野田が
悄々
(
すごすご
)
降りていったあとでも、
取
(
とり
)
つき
身上
(
しんしょう
)
の苦しさと、自分の心持については、何も知ってくれないような父親の
挙動
(
ふるまい
)
が腹立しかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
忠一は
呆気
(
あっけ
)
に取られて見送っていると、
霎時
(
しばらく
)
して巡査は
悄々
(
すごすご
)
引返
(
ひっかえ
)
して来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、そのうちにお鍋が帰ッて来たので、文三も、余義なく、うつむいたままで、力無さそうに起ち上り、
悄々
(
すごすご
)
我部屋へ戻ろうとして
梯子段
(
はしごだん
)
の下まで来ると、お勢の部屋で、さも意地張ッた声で
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それでさえ怒り得ないで、
悄々
(
すごすご
)
と
杖
(
つえ
)
に
縋
(
すが
)
って
背負
(
しょ
)
って帰る男じゃないか。景気よく
馬肉
(
けとばし
)
で
呷
(
あお
)
った酒なら、跳ねも、いきりもしようけれど、胃のわるい処へ、げっそり
空腹
(
すきばら
)
と来て、
蕎麦
(
そば
)
ともいかない。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
老婢は傘と
足駄
(
あしだ
)
とを置きて
悄々
(
すごすご
)
還りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かう云はれて見れば、「しめおん」も己の疑深かつたのが恥しうもなつたに由つて、
悄々
(
すごすご
)
その場を去らうとしたに、いきなり駈けこんで来たは、少年の「ろおれんぞ」ぢや。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もう三十七八ともみえる女は、その時も綺麗に
小皺
(
こじわ
)
の寄った
荒
(
すさ
)
んだ顔に薄化粧などをして、古いお召の
被布姿
(
ひふすがた
)
で来ていたが、お島の権幕に
怯
(
お
)
じおそれたように、
悄々
(
すごすご
)
出ていった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それでさへ怒り得ないで、
悄々
(
すごすご
)
と
杖
(
つえ
)
に
縋
(
すが
)
つて
背負
(
しょ
)
つて帰る男ぢやないか。景気よく
馬肉
(
けとばし
)
で
呷
(
あお
)
つた酒なら、跳ねも、いきりもしようけれど、胃のわるい
処
(
ところ
)
へ、げつそりと
空腹
(
すきばら
)
と来て、
蕎麦
(
そば
)
ともいかない。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、
悄々
(
すごすご
)
、どこへか立ち去った。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仕方なしに、笑って見せて、
悄々
(
すごすご
)
と座敷へ戻って
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悄
漢検1級
部首:⼼
10画
々
3画
“悄”で始まる語句
悄然
悄気
悄
悄氣
悄気返
悄乎
悄沈
悄気切
悄気方
悄悄