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恣
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ほしい
ふりがな文庫
“
恣
(
ほしい
)” の例文
けれどもその一重瞼の中に輝やく
瞳子
(
ひとみ
)
は
漆黒
(
しっこく
)
であった。だから非常によく働らいた。或時は
専横
(
せんおう
)
と云ってもいいくらいに表情を
恣
(
ほしい
)
ままにした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見
(
み
)
れば惡は惡に
亡
(
ほろ
)
ぶる事誠に是非もなき
次第
(
しだい
)
なり
又
(
また
)
主人
(
あるじ
)
五兵衞は其人を知らず
只
(
たゞ
)
己の
慾
(
よく
)
を
恣
(
ほしい
)
まゝになせしゆゑ遂には家の
滅亡
(
めつばう
)
を招くと
云
(
いふ
)
是
(
これ
)
亦
(
また
)
淺猿
(
あさま
)
しき事にこそ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
は二
度
(
ど
)
はない』と
稱
(
しよう
)
してあらゆる
肉慾
(
にくよく
)
を
恣
(
ほしい
)
まゝにせんとする
青年男女
(
せいねんだんぢよ
)
の
自由
(
じいう
)
に
干渉
(
かんせふ
)
し
得
(
う
)
るぞ。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
実は
御子左
(
みこひだり
)
一家の
恣
(
ほしい
)
ままな思いつきでなく、当時の隠者層を生み出してくる母胎となった、中堅貴紳層の一般的な生活や精神やの中から、根をはやして
萌
(
も
)
え出たものであった証拠には
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
葉子の頭に描かれた夫人は
我
(
が
)
の強い、情の
恣
(
ほしい
)
ままな、野心の深い割合に
手練
(
タクト
)
の
露骨
(
ろこつ
)
な、
良人
(
おっと
)
を軽く見てややともすると
笠
(
かさ
)
にかかりながら、それでいて良人から独立する事の到底できない
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
我は半ば病めるが如き苦悶を覺えき。姫の姿は
驕兒
(
けうじ
)
の
恣
(
ほしい
)
まゝに戲れ狂ふ如く、その聲は
古
(
いにしへ
)
の希臘の祭に出できといふ狂女の歌ふに似たり。されどその放縱の間にも猶やさしく愛らしきところを存せり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
子供と違って
大人
(
たいじん
)
は、なまじい一つの物を
十筋
(
とすじ
)
二十筋の
文
(
あや
)
からできたように
見窮
(
みきわ
)
める力があるから、生活の基礎となるべき純潔な感情を
恣
(
ほしい
)
ままに吸収する場合が
極
(
きわ
)
めて少ない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
積善
(
せきぜん
)
の家には
餘慶
(
よけい
)
あり
積惡
(
せきあく
)
の家には
餘殃
(
よあう
)
ありと
宜
(
むべ
)
なる
哉
(
かな
)
此篇
(
このへん
)
に
載
(
のす
)
る所の村井長庵の如き
表
(
おもて
)
は
醫術
(
いじゆつ
)
を
業
(
わざ
)
とし内は
佞邪奸惡
(
ねいじやかんあく
)
を
恣
(
ほしい
)
まゝにして
己
(
おのれ
)
が
榮利
(
えいり
)
を
盡
(
つく
)
さんと
欲
(
ほつ
)
す然れども
天網
(
てんまう
)
爭
(
いか
)
で此
惡漢
(
わるもの
)
を通さん其
咎
(
とが
)
めを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
恣
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“恣”を含む語句
放恣
恣意
自恣
驕恣
偃蹇恣雎
専恣
恣欲
放恣浩蕩
放恣醜態
放蕩自恣
暴戻恣睢
洸洋自恣
淫恣
荒怠暴恣