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後釜
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あとがま
ふりがな文庫
“
後釜
(
あとがま
)” の例文
そこで内からは女房のお大が糸を引いて、清七の
後釜
(
あとがま
)
に幾次郎を据える段取りになったのですが、主人も直ぐには承知しない。
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一緒にいた
芸妓
(
げいしゃ
)
あがりらしい女と、母親との折合いがわるくて、このごろ
後釜
(
あとがま
)
に田舎から嫁が来ているという事情などもお銀はよく知っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
仮りに吾輩が彼奴の見込み通りに斎藤先生を殺して、その
後釜
(
あとがま
)
に座って、コンナ実験をこころみて失敗をして自殺を思い立った人間とするかね。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自身にも言い聴かせて「私は何も前の奥さんの
後釜
(
あとがま
)
に坐るつもりやあらへん、維康を一人前の男に出世させたら
本望
(
ほんもう
)
や」
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「そればかりじゃありませんよ、お種の
阿魔
(
あま
)
は、兵二郎の
後釜
(
あとがま
)
はこの私でなきゃア——と言うんで、十手捕縄を放り出したくなるじゃありませんか」
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
内大臣、左大将、藤原
師長
(
もろなが
)
が、左大将を辞任した。この顕職の
後釜
(
あとがま
)
をねらって、猛烈な就職運動が始ったのである。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
僕がやめれば他の誰かが
後釜
(
あとがま
)
にすわって僕のやってきたことをやるだけのことで、僕が辞職するということはただ僕が路頭に迷うようになるという以外に
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ところでそっちの
処置
(
かた
)
がついたら、そろそろ
後釜
(
あとがま
)
の売りつけ——いやここだて、おれも
母
(
おっか
)
さんも
卿
(
おまえ
)
をな、まあお浪さんのあとに入れたいと思っているのだ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「うむ。源三郎が死んだとありゃア、おれアスッパリと萩乃を思いきる。源三が生きていてこそ鞘当てだ。死んだやつの
後釜
(
あとがま
)
をねらうのは、俺にはできねえ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あれはおれの
後釜
(
あとがま
)
にすわっただれか別な男だ。おれはゆうべはおれだったが、山の上で寝こんでしまって、鉄砲はかえられるし、何もかも変って、おれまでかわってしまった。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
たいへん
稀
(
まれ
)
であって、彼等の多くは、たまたま職業を其処にみいだしたのであって、それから後は無論のこと職業意識をもって説教をし、燃えるような野心をもって
上役
(
うわやく
)
の
後釜
(
あとがま
)
を
覘
(
ねら
)
み
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『他の学校へ移すとか、
後釜
(
あとがま
)
へは——それ、君の気に入つた人を入れるとかサ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と叫んで、そつと司会者に訊くと、弁士が弔演説をしてゐる男は、今は課長に昇進して、亡くなつた男がその
後釜
(
あとがま
)
に
据
(
すわ
)
つてゐたのを雄弁家がつい早飲込みにその男だと
穿違
(
はきちが
)
へて
了
(
しま
)
つたのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
劉表に身を寄せていた頃から、常に劉表の
後釜
(
あとがま
)
をうかがっていた玄徳じゃないか。いわんや、蜀の劉璋などに、なんの
斟酌
(
しんしゃく
)
を持っているものか。すべて彼と孔明の
遷延策
(
せんえんさく
)
にほかならぬものだ。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猫にまで
僻
(
ひが
)
みを持つのか知らんと、面当てゞなくさう感じたものだつたけれど、今度自分が
後釜
(
あとがま
)
へ直つてみると、自分は品子と同じ扱ひを受ける訳でもなく、大切にされてゐることは分つてゐながら
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「親方を
退
(
の
)
けた
後釜
(
あとがま
)
に坐ることなど、とても、出来ません」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その
後釜
(
あとがま
)
が、源さんという訳よ
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その
後釜
(
あとがま
)
に直らうとしたが、お縫は武家の出で、氣性も腕も確りして居るので、お鮒などの手に合はず、白痴の猪之助が、死ぬ程自分に惚れて居るのを利用し
銭形平次捕物控:262 綾の鼓
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして私の
後釜
(
あとがま
)
には、私が初歩から教育した敏腕家で、この二三年の間に異数の
抜擢
(
ばってき
)
を受けた私の腹心の
志免不二夫
(
しめふじお
)
が、警視に昇進すると同時に坐ることになった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
マダムは
死際
(
しにぎわ
)
に、浜龍にはどうせ好い相手があって、家を出るだろうから、銀子は年も行かないから無理かも知らないけど、気心がよく
解
(
わか
)
っているから、マダムの
後釜
(
あとがま
)
になって
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
前にお話し申した通り、お角は神原の屋敷の馬丁と出来合っていたのですが、その馬丁の平吉が挙げられると、すぐに国蔵という
後釜
(
あとがま
)
をこしらえる。そのほかに写真屋の島田と関係する。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お
豊
(
とよ
)
がかあいそうだからお浪さんを
退
(
の
)
いてもらおうというかと思えば、もうできそうになると今度アお浪さんがかあいそう! そんなばかな事は
中止
(
よし
)
として、今度はお豊を
後釜
(
あとがま
)
に据える
計略
(
ふんべつ
)
が肝心だ
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
猫にまで
僻
(
ひが
)
みを持つのか知らんと、面当てゞなくさう感じたものだつたけれど、今度自分が
後釜
(
あとがま
)
へ直つてみると、自分は品子と同じ扱ひを受ける訳でもなく、大切にされてゐることは分つてゐながら
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
左官正太を名乗る帆村探偵は、巧みに吉治の
後釜
(
あとがま
)
に入りこんだ。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
猫にまで
僻
(
ひが
)
みを持つのか知らんと、面当てでなくそう感じたものだったけれど、今度自分が
後釜
(
あとがま
)
へ直ってみると、自分は品子と同じ扱いを受ける訳でもなく、大切にされていることは分っていながら
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
釜
常用漢字
中学
部首:⾦
10画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世