後藤ごとう)” の例文
あまりの事に人々出す言葉を知らざりき。倶楽部員は二郎の安全を祝してみな散じゆき、事務室に居残りしは幹事後藤ごとうのみとなりぬ。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
岩倉大使一行の帰朝、征韓論の破裂、政府の分裂、西郷以下多くの薩人の帰国、参議副島そえじま後藤ごとう板垣いたがき江藤えとうらの辞表奉呈はその結果であった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そへて差上申べしと云ければ後藤始め大いに悦び夫は何よりの幸ひ何分頼むと有りけるに八五郎は後藤ごとうならびに夫婦の者の素性すじやうくはしく書状にしたゝめ是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
後藤ごとう男爵が少年のころ、何かの折りに、岩倉公いわくらこうの前にされ、菓子をもてなされた。地方からポットの男はめずおくせず、その席上でムシャムシャと菓子を食った。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「徳右衞門は千兩箱を五つとも開けて、上側をザクザクすくひ上げて見せたらう。あの小判が、皆んな後藤ごとうの書き判(花押くわあふ)のある表側だつたことをお前は知つて居るか」
江戸大奥お出入り、お手当米二百石、後藤ごとう縫之介ぬいのすけと、名字帯刀までお許しの呉服師だ。
馬鹿にされております、意気地のないやつでござります、虚誕うそはなかなか申しませぬ、お上人様、大工はできます、大隅流おおすみりゅう童児こどもの時から、後藤ごとう立川たてかわ二ツの流義も合点がてん致しておりまする、させて
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
然れども欧洲人はなほいまだ光琳の蒔絵まきえ、春信の錦絵にしきえ整珉せいみんの銅器、後藤ごとう目貫めぬき等については全く知る所なかりしが、維新の戦禍に際してこれらの古美術品一時に流出するやゴンクウル、ブュルチー
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
(改造社俳句講座第七巻、後藤ごとう氏「フランスの俳諧詩」参照)
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
後藤ごとう先生です」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
取替とりかはせしに後藤ごとうへい四郎と申名の下におしたる印形いんぎやうは幸之進の實印に相違さうゐなく然れどもそればかりにてさだがたしとぞんじ茶屋ちややまゐこしの物をあらため見候に本夫をつと脇差わきざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一石橋いっこくばしの呉服後藤ごとうだよ。この絹糸をようみろい。江戸にかずかず名代はあるが、呉服後藤に碁は本因坊、五丁町には御所桜と手まりうたにもある呉服後藤だ。ただの呉服屋じゃねえ。
きゝ不屆ふとゞきなる奴輩やつばらなり其許そのもと若年にして今の働き勿々なか/\凡人ぼんじんの業とは思はれず天晴農民のせがれにはめづらしき者なり某しは豐後府内の浪人にて後藤ごとう五左衞門秀盛入道ひでもりにふだういひ無刀流の劔術を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)