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しりめ
ふりがな文庫
“
後目
(
しりめ
)” の例文
と、逃げなだれた
泊兵
(
はくへい
)
の
勢
(
ぜい
)
を
後目
(
しりめ
)
に自陣の方へ帰りかけるところだった。——それを見ると、休んでいた林冲がまた馬を躍らせて来て。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
艶然
(
えんぜん
)
として微笑みながら、
舞衣姿
(
まいすがた
)
のまま酌をしようとするお春を
後目
(
しりめ
)
にかけて、呉羽之介は不機嫌に、震える声で言うのでした。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そういうと、
呆気
(
あっけ
)
にとられている甲子雄を
後目
(
しりめ
)
に、玄関へ出ていった兵馬、——何か安吉にいいつけてすぐに戻ってくると、座につくなり
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
男も女も時々こっちを
後目
(
しりめ
)
に視ていたが、格別に気を置いてもいないらしく、火鉢に仲よく手をかざしながら、小声でしきりに話していた。
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、俯伏したままの野本氏を
後目
(
しりめ
)
にかけてすっと座敷から出た。何も知らぬ婆やが
周章
(
あわ
)
てて、彼の下駄を直しに出て来た。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
「そんなに
家
(
うち
)
へ
入
(
はい
)
りたければ、
逃
(
に
)
げた
鳥
(
とり
)
を
探
(
さが
)
して
捕
(
つか
)
まえてくるがいい。」と、
母親
(
ははおや
)
は、
娘
(
むすめ
)
を
後目
(
しりめ
)
にかけてしかりました。
めくら星
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「いらっしゃいよ。いいからいらっしゃいよ。構わないでも、いいからいらっしゃいよ」と女は高柳君を
後目
(
しりめ
)
にかけたなり塩瀬を引っ張って行く。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その吠え
面
(
づら
)
を
後目
(
しりめ
)
にかけながら、起きあがつて塵もはらはずに袖を顔にあててるお蕙ちやんのそばへよつて髪にも著物にもいつぱいくつついてる犬じらみをひとつひとつとつてやつた。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
しかし、御当人は、左様な噂を一切見えぬ
後目
(
しりめ
)
にかけて、山科谷から、島原の色里にまで、影を追うて往年の紅燈緑酒の夢を見て帰ったという消息をもまことしやかに伝える者もある。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
老婦人を
後目
(
しりめ
)
に懸け、「もう用はこれなし、
帰
(
けえ
)
してやる。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言う源氏の君を
後目
(
しりめ
)
に女は見上げて
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
男
(
おとこ
)
は、
小
(
ちい
)
さな
手
(
て
)
で
両眼
(
りょうめ
)
をこすって
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
した
少年
(
しょうねん
)
を
後目
(
しりめ
)
にかけて、ののしると
町
(
まち
)
の
方
(
ほう
)
へ
引
(
ひ
)
き
返
(
かえ
)
してしまいました。
火を点ず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼女は黙って茶を飲みながら、絶えず
後目
(
しりめ
)
づかいをして、お里の髪形から物言いや立ち振舞いをぬすみ見ていた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この
辟易
(
へきえき
)
すべき多量の形容詞中から、余と三歩の
隔
(
へだた
)
りに立つ、
体
(
たい
)
を
斜
(
なな
)
めに
捩
(
ねじ
)
って、
後目
(
しりめ
)
に余が
驚愕
(
きょうがく
)
と
狼狽
(
ろうばい
)
を
心地
(
ここち
)
よげに
眺
(
なが
)
めている女を、もっとも適当に
叙
(
じょ
)
すべき用語を拾い来ったなら
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お銀様は冷笑気味で
後目
(
しりめ
)
にかけて、弁信が投げ込まれた井戸へ近づこうとしたが、井戸の屋根の柱につるしてあった提灯の光が、あいにくに、怪我をしたという神尾の
面
(
おもて
)
を照らしています。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世