いっ)” の例文
大原「ヤレヤレ少々驚いたね。ナーニ昨日きのう僕の友人のうちいってその妹に御馳走されたのです。その事が寝言に出たのでしょう」書生
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それガ病人ニナッテシマッタノダカラ残念デタマラナイノダガ、君ノ手紙ヲ見テ西洋ヘいっタヨウナ気ニナッテ愉快デタマラヌ。
彼はペロリとたべて厚く礼を言い、出ていっあと間も無く八重吉が戻って、その話を聞きまたしても畜生がと、大層たいそう立腹せしに驚き秀調その訳を訊ねしに
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
……ウーイプー……お勢がいきたいというもんだから仕様事しようことなしのお交際つきやいいって見たがネ、思ッたよりはサ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そのわけは前にも言いましたように、蕪村は江戸でしこんで江戸の代物を京に持っていったのですから、いわば蕪村は京と江戸と両方の長所を取って大成したのであります。
俳句上の京と江戸 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
けれども段々読む中には又左程さほどでもなく、次第々々にやすくなって来たが、その蘭学修業の事は扨置さておき、も私の長崎にいったのは、ただ田舎の中津の窮屈なのがいやで/\たまらぬから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
十四年七月二十二日に、御台所みだいどころの養子にせられ、九月十八日に津山の松平家に壻入し、十二月三日に松平邸にいった。四歳の壻君むこぎみである。文政二年正月二十八日には新居落成してそれに移った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「どうしてどうしてお死になされたとわたしがもうしいとしいお方の側へ、従四位様を並べたら、まるで下郎げろうもっいったようだろうよ」と仰有ってまたちょっと口を結び、力のなさそうな溜息ためいきをなすって
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
主人「何処へでもとは言われんが相当な処なら」大原「無論相当この上なしだ。マア僕もちょいと小山君の家へいってみよう。さようなら」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
オイオイ姉さん、シャツを持ッてッとくれッてば……オイ……ヤ失敬な、モウいっちまッた。渠奴あいつ近頃生意気になっていかん。先刻さっきも僕ア喧嘩けんかして遣たんだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それは幽霊がいったのだろうともいわれず、右の鮨を残らず引受ひきうけ、近所へ配って回向えこうをしてやったそうだが、配る家が一軒も過不足なく、その数通りであったと云うは一寸ちょっと変っている怪談であろう。
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
門に入りてひそかうかがう家内の様子「ハテナ、今日はお登和さんの声がしないぞ、何処どこへかいったかしらん。イヤほかく所もあるまい、台所にいるだろう」としきりに気が揉める。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「トキニ内海はどうも飛だ事で、実に気の毒な、今もいって慰めて来たが塞切ふさぎきッている」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
進退のっぴきならず「お代さん、どうぞ放して下さい。僕は今ここへ寄って少し遅くなったのです。急いでお迎いにかねばなりません」お代嬢「今っから何処どこさあ迎いに往くだ。モーっくに新橋へ着いた時分、今頃迎いにいったって誰がいるもんか。それよりも満さんは ...
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)