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彼時
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あのとき
ふりがな文庫
“
彼時
(
あのとき
)” の例文
何故
彼時
(
あのとき
)
私は雪江さんの部屋を逃出したのだというと、非常に
怕
(
おそ
)
ろしかったからだ。何が
怕
(
おそ
)
ろしかったのか分らないが、唯何がなしに非常に
怕
(
おそ
)
ろしかったのだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼時
(
あのとき
)
にもう夫は
覚期
(
かくご
)
して居ることが有つたらしい——信州の小春は好いの、今度の旅行は面白からうの、
土産
(
みやげ
)
はしつかり持つて帰るから家へ行つて待つて居れの
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし
彼時
(
あのとき
)
親類共の
態度
(
そぶり
)
が
余程
(
よッほど
)
妙だった。「何だ、馬鹿
奴
(
め
)
! お先真暗で夢中に騒ぐ!」と、こうだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
誰か
何時
(
いつ
)
やら、政府の
狗
(
いぬ
)
ぢや無いかと注意したつけが、
何
(
どう
)
も先生は既に
左様
(
さう
)
と知つて居られるらしかつたよ、
彼時
(
あのとき
)
の御返事を見ると——
彼程
(
あれほど
)
敏慧
(
びんけい
)
な頭脳を邪路から救ひ出して
遣
(
や
)
るものが無ければ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其
(
その
)
證據
(
しようこ
)
には
曾
(
かつ
)
て
戀
(
こひ
)
の
爲
(
た
)
めに
苦
(
くるし
)
み
悶
(
もだ
)
えた
人
(
ひと
)
も、
時
(
とき
)
經
(
た
)
つて、
普通
(
ふつう
)
の
人
(
ひと
)
となる
時
(
とき
)
は、
何故
(
なにゆゑ
)
に
彼時
(
あのとき
)
自分
(
じぶん
)
が
戀
(
こひ
)
の
爲
(
た
)
めに
斯
(
か
)
くまで
苦悶
(
くもん
)
したかを、
自分
(
じぶん
)
で
疑
(
うた
)
がう
者
(
もの
)
である。
則
(
すなは
)
ち
彼
(
かれ
)
は
戀
(
こひ
)
の
力
(
ちから
)
に
觸
(
ふ
)
れて
居
(
ゐ
)
ないからである。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
「
清野
(
せいの
)
が毛織の
襯衣
(
シャツ
)
を半ダース重ねて着たのは
彼時
(
あのとき
)
だよ」
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼時
(
あのとき
)
の君の考へ込んで居る様子と言つたら——僕は
暫時
(
しばらく
)
そこに突立つて、君の後姿を見送つて、何とも言ひ様の無い
心地
(
こゝろもち
)
がしたねえ。君は猪子先生の「懴悔録」を持つて居た。其時僕は
左様
(
さう
)
思つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから
彼
(
あ
)
の靴の
請負
(
うけおひ
)
の時はドウだ、糊付けの
踵
(
かゝと
)
が雨に離れて、水兵は
繩梯
(
はしご
)
から落ちて
逆巻
(
さかま
)
く
濤
(
なみ
)
へ
行衛
(
ゆくゑ
)
知れずになる、艦隊の方からは
劇
(
はげ
)
しく苦情を持ち込む、本来ならば、
彼時
(
あのとき
)
山木にしろ、君にしろ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“彼”で始まる語句
彼
彼方
彼奴
彼女
彼処
彼方此方
彼岸
彼様
彼是
彼等