居眠ゐねむ)” の例文
バルタ 最前さいぜんこの水松いちゐかげ居眠ゐねむってゐますうちに、ゆめうつゝに、主人しゅじんとさるひととがたゝかうて、主人しゅじん其人そのひとをばころしたとました。
そのかはり、すこしでもゆるめてやつて御覽ごらんなさい。居眠ゐねむりのきな石臼いしうす何時いつにかうごかなくなつてます。そして何時いつまでゞも居眠ゐねむりをしてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
柱時計はもう十二時まはつてゐた。ばあさんは、めしましたあとえて、下女部屋で御はちうへひぢいて居眠ゐねむりをしてゐた。門野かどの何処どこつたかかげさへ見えなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
幸ひ午近ひるぢかくのことで見渡みわたす川岸に人の往来わうらい杜絶とだえてゐる。長吉ちやうきち出来できるだけ早くめしでもさいでもみん鵜呑うのみにしてしまつた。釣師つりしはいづれも木像のやうに黙つてゐるし、甘酒屋あまざけやぢゝ居眠ゐねむりしてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あの土藏どざう横手よこて石垣いしがきあひだには、土藏どざうばんをするとしとつたへびて、いまでも居眠ゐねむりをしてます。私達わたしたちはみんなおまへさんのお友達ともだちです。私達わたしたちをよくおぼえてくださいよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
石臼いしうすぐらゐうたきなものはりません。石臼いしうすぐらゐ、また居眠ゐねむりのきなものもりません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)