尾上をのへ)” の例文
(「高砂の尾上をのへに立てる白玉椿しらたまつばき、それもがと、ましもがと、今朝けさ咲いたる初花にはましものを云々うんぬん」という歌詞である)
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
きのふけふ咲きぬると見し四九尾上をのへの花も散りはてて、涼しき風による浪に、五〇とはでもしるき夏のはじめになりぬ。
をんなだ。うしたい、」とひながら、袖崎そでさき尾上をのへまつあふいだ。山懷やまふところくらく、かみくろく、月影つきかげいろしろい。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
尾上をのへの月のあけぼのを眺めて帰る人もあり、旧都に残る人々は、伏見、広沢の月を見る……
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もしその尾上をのへうそぶきたち、大海原のあなたを見わたさむか、雲と濤とあひまじはり、風は霧のごとく、潮は煙に似たる間を分けわく船の帆影は、さながら空なる星かと見まがふばかりなり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
三笠山さ尾上をのへに立つ鹿のかぼそき姿あめにして見つ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
尾上をのへの松に
蛍の灯台 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
尾上をのへはるかに、がけなびいて、堤防どてのこり、稻束いなづかつて、くきみだみだれてそれ蕎麥そばよりもあかいのに、ゆめのやうにしろまぼろしにしてしかも、名殘なごりか、月影つきかげか、晃々きら/\つやはなつて、やまそでに、ふところ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あらし吹く尾上をのへのさくら散らぬ間を心とめけるほどのはかなさ
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)