小包こづゝみ)” の例文
小包こづゝみとゞいた時、一応て見て、面白くないから、戸棚へ入れて置いた。それを与次郎が、勿体ないから是非ろ/\と云ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つゞいて尻端折しりはしをり股引もゝひきにゴム靴をはいた請負師うけおひしらしい男のとほつたあとしばらくしてから、蝙蝠傘かうもりがさ小包こづゝみげた貧しな女房が日和下駄ひよりげたで色気もなく砂を蹴立けたてゝ大股おほまたに歩いて行つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
とかくは檜舞臺ひのきぶたひたつるもをかしからずや、あかぬけのせし三十あまりの年増としまざつぱりとせし唐棧とうざんぞろひに紺足袋こんたびはきて、雪駄せつたちやら/\いそがしげに横抱よこだきの小包こづゝみはとはでもしるし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小包こづゝみ郵便をせた赤い車がはつと電車とれ違ふとき、又代助のあたまなかに吸ひ込まれた。烟草屋の暖簾が赤かつた。売出しの旗も赤かつた。電柱が赤かつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
晩食ばんめしとき、丸善から小包こづゝみとゞいた。はしいてけて見ると、余程前に外国へ注文した二三の新刊書であつた。代助はそれをわきしたかゝんで、書斎へ帰つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
規則きそくだから警察けいさつとゞけることとゞけたが、じつ大分だいぶふる時計とけいなので、られても夫程それほどをしくもないぐらゐあきらめてゐたら、昨日きのふになつて、突然とつぜん差出人さしだしにん不明ふめい小包こづゝみいて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御光さんは豊津の女学校をやめて、うちへ帰つたさうだ。又御光さんに縫つて貰つた綿入が小包こづゝみるさうだ。大工の角三かくぞうが山で賭博ばくちを打つて九十八円取られたさうだ。——其顛末がくわしく書いてある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)