安之助やすのすけ)” の例文
安之助やすのすけいそがしいとかで、一時間じかんらずはなしてかへつてつたが、小六ころく所置しよちついては、兩人りやうにんあひだ具體的ぐたいてきあんべつなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二歳の誕生を迎える安之助やすのすけが、柿をいれた青竹の小さな籠を背にして、よちよちとあるく姿は考えるだけでも愛らしくたのしいものだった。——どうか一つでもよいから残ってれるとよい。
日本婦道記:箭竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
專門上せんもんじやう知識ちしきのない小六ころくが、精密せいみつ返答へんたふをしはず無論むろんなかつた。かれはたゞ安之助やすのすけからいたまゝを、おぼえてゐるかぎねんれて説明せつめいした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
叔母をば自分じぶんとほりが、宗助そうすけ本當ほんたうけられないのをにするやうに、安之助やすのすけからした資本しほんたかまではなした。それは五千ゑんほどであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
佐伯さえきの叔母も安之助やすのすけもその後とんと宗助そうすけうちへは見えなかった。宗助はもとより麹町こうじまちへ行く余暇をたなかった。またそれだけの興味もなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼はむかし叔父の家にいた時、安之助やすのすけといっしょになって、自分の部屋の唐紙からかみを張り替えた経験がある。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
叔母と安之助やすのすけはまだ生きているが、生きている間に打ち解けた交際つきあいはできないほど、もう冷淡の日を重ねてしまった。今年はまだ歳暮にも行かなかった。むこうからも来なかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)