女子むすめ)” の例文
柴の里の庄司しょうじの一人女子むすめで、大内おおうち采女うねめにあずかっていたのが婿を迎えることになり、媒氏なこうどをもって豊雄の家へ云って来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
二一吉備津きびつ神主かんざね香央造酒かさだみき女子むすめは、うまれだち秀麗みやびやかにて、父母にもよく仕へ、かつ歌をよみ、二二ことたくみなり。
アダモの女子むすめのうちにて汝は福なる者なり、ねがはくは汝の美にとこしへの福あれ。 八五—八七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
見る人懵然ぼうぜんとして醉へるが如く、布衣ほいに立烏帽子せる若殿原わかとのばらは、あはれ何處いづこ女子むすめぞ、花薫はなかほり月霞む宵の手枕たまくらに、君が夢路ゆめぢに入らん人こそ世にも果報なる人なれなど
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
その女子むすめを喚び、ひそかにこれに告げていわく、われ今宝あり、宝中の上なるものはまさにもって汝に遺すべし、汝この宝を得れば密蔵すること堅からしめ、王に知らしむることなかれ、と。
やみつねなるひとおやごヽろ、ゆゑみちまよはぬはきものをとさとし此處こヽむれば、香山家かやまけ三人みたり女子むすめうちかみむづかしくすゑ活溌はねにて、容貌きりやう大底たいていなれどもなんとしてきみおよものなく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先に問ひたまへる女子むすめ訶良から比賣は、さもら一八む。
男子をのこご二人、女子むすめ一人をもてり。太郎は質朴すなほにてよく生産なりはひを治む。二郎の女子は大和の人の𡣞つまどひに迎へられて、彼所かしこにゆく。三郎の豊雄とよをなるものあり。
豊雄の家でも喜んで約束をしたので、庄司の家では女子むすめを都へ迎いにやった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
我が女子むすめ既に十七歳になりぬれば、朝夕に三三よき人がなあはせんものをと、心も三四おちゐはべらず。