女夫めをと)” の例文
こはして宮の冷淡ならざるを証するに足らざるなり、ゆゑは、この女夫めをと出入しゆつにゆうに握手するは、夫の始より命じて習せししつけなるをや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
船へひ上がるとすぐお茶屋に送り込まれ、濡れた裝束しやうぞくを脱いで、一と風呂温まり、にぎやかにはやし乍ら改めて女夫めをとの盃といふ寸法になつて居たんで
いかでむとてもやらず、うつくしきふところより、かしこくも見參みまゐらすれば、うへ女夫めをとびな微笑ほゝゑたまへる。それもゆめか、胡蝶こてふつばさかいにして、もゝ花菜はなな乘合のりあひぶね
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
書けと仰しやれば起證でも誓紙でもお好み次第さし上ませう、女夫めをとやくそくなどと言つても此方こちで破るよりは先方樣の性根なし、主人もちなら主人がこはく親もちなら親の言ひなり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
都の公家衆くげしゆに奉公したもの、縁あつてこの夜叉王と女夫めをとになり、あづまへ流れ下つたが、育ちが育ちとて氣位高く、職人風情に連れ添うて、一生むなしく朽ち果るを悔みながらに世を終つた。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
ひと如何いかにともよ、吾身は如何にとも成らば成れと互に咎めざる心易こころやすさをぬすみて、あやし女夫めをとの契をつなぐにぞありける。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
暫らく經つて、香之助とお袖が女夫めをとになり、田島屋の後は無事に立ちました。その頃八五郎が
書けとおつしやれば起証でも誓紙でもお好み次第さし上ませう、女夫めをとやくそくなどと言つても此方こちで破るよりは先方様さきさまの性根なし、主人もちなら主人がこわく親もちなら親の言ひなり
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けとおつしやれば起證きせうでも誓紙せいしでもおこの次第しだいさしあげませう、女夫めをとやくそくなどとつても此方こちやぶるよりは先方樣さきさま性根せうねなし、主人しゆじんもちなら主人しゆじんこわおやもちならおやひなり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これもとよりあだなる恋にはあらで、女夫めをとちぎりを望みしなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)