大気たいき)” の例文
旧字:大氣
「天下人のお大気たいきとしては、まさにそうあるべきでしょうが、近頃、心痛に堪えないものを見ておりますゆえ、にわかに御同意はできません」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういう大時化の海に漂いながら、鼻唄が出るというのは、異国船の船頭はなるほど大気たいきなものだと感心した。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
女生徒は男生徒より大気たいきでないせえか。あんまりなまけませんてネ。ですからそんなに勉強を勧めてさせないでも。自分自身に相応に勉強して行きますとサ。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
さて、その色にも活計かっけいにも、寐起ねおきにも夜昼の区別のない、迷晦朦朧めいかいもうろうとして黄昏男と言われても、江戸児えどッこだ、大気たいきなもので、手ぶらで柳橋の館——いや館は上方——何とかへ推参する。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あたらしいは、また子供こどものように、太陽たいようひかり新鮮しんせん大気たいきうち元気げんきよくびてゆきました。そしてなつのころしろはなき、そのとしれにはっかおもそうにれさがったのであります。
おじいさんが捨てたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
ね、親分、三千石の奥方はさすがに大気たいきなものだろう
大気たいきゆるがしみだるれば
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あたかも南蛮絨毯なんばんじゅうたんきのべたように、すみきった大気たいきもみださぬほどな微風びふうになでられてあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よる大気たいき寒冷かんれい
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
檜谷ひのきだにいちめんの暗緑色あんりょくしょく木立こだちのあいだから、白い硝煙しょうえん湯気ゆげのようにムクムクと大気たいきへのぼる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大気たいきしんたり朝神楽あさかぐら
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それを正面のたかき石段いしだんにあおいで、ひろい平地へいち周囲しゅういも、またそれからながめおろされる渓谷けいこくも、四の山もさわ万樹ばんじゅ鮮紅せんこうめられて、晩秋ばんしゅう大気たいきはすみきッている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹叡はさすがに魏の君主だけあって大気たいきである。満寵の言を聞くとむしろ笑って云った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)