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大榎
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おおえのき
ふりがな文庫
“
大榎
(
おおえのき
)” の例文
お勢は
大榎
(
おおえのき
)
の
根方
(
ねがた
)
の所で立止まり、
翳
(
さ
)
していた
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
をつぼめてズイと一通り
四辺
(
あたり
)
を
見亘
(
みわた
)
し、
嫣然
(
えんぜん
)
一笑しながら昇の顔を
窺
(
のぞ
)
き込んで、唐突に
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
池の対岸の
石垣
(
いしがき
)
の上には竹やぶがあって、その中から一本の
大榎
(
おおえのき
)
がそびえているが、そのこずえの紅や黄を帯びた色彩がなんとも言われなく美しい。
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
雑司ヶ谷の鬼子母神門外、
大榎
(
おおえのき
)
の並木の蔭に並んだ茶店は、そのころ江戸の町内にもない繁昌をみせたものでした。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すぐその御手洗の
傍
(
そば
)
に、
三抱
(
みかかえ
)
ほどなる
大榎
(
おおえのき
)
の枝が茂って、
檜皮葺
(
ひわだぶき
)
の屋根を、
森々
(
しんしん
)
と暗いまで緑に包んだ、棟の
鰹木
(
かつおぎ
)
を見れば、
紛
(
まが
)
うべくもない
女神
(
じょしん
)
である。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
広巳の眼の前には初春の寒い月の晩
海晏寺
(
かいあんじ
)
の前の
大榎
(
おおえのき
)
の傍で、往きずりに擦れ違った女の姿が浮んでいた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
兵馬は追い詰め、米友は突き詰められて、とうとう前の
大榎
(
おおえのき
)
のところまで来てしまいました。大榎を背中にして米友はこれより後ろへは一歩も
退
(
ひ
)
くことはできぬ。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
はい
駕籠
(
かご
)
をいそがせて、おさきに来ていました。では途中で会ったんだな。はい途中でおみかけ致しました、と紀伊が云った。
大榎
(
おおえのき
)
のところで立停っていらっしゃいましたわ。
女は同じ物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
渓流は細いが、水は清冽で、その辺は巨大な岩石が
重畳
(
ちょうじょう
)
しており、
樟
(
くす
)
に
雑
(
まじ
)
って
大榎
(
おおえのき
)
の茂っている薄暗い広場があって、そこにお
誂
(
あつら
)
え通り
小
(
ささ
)
やかな
狐格子
(
きつねごうし
)
のついた
山神
(
さんしん
)
の
祠
(
ほこら
)
がある。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
ここは山尻町との境で、片側には小さい
御家人
(
ごけにん
)
と
小商人
(
こあきんど
)
の店とが繋がっているが、昼でも往来の少ない薄暗い横町で、権現のやしろの
大榎
(
おおえのき
)
が狭い路をいよいよ暗くするように
掩
(
おお
)
っていた。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夕暮よりも薄暗い入梅の午後
牛天神
(
うしてんじん
)
の森蔭に
紫陽花
(
あじさい
)
の
咲出
(
さきいづ
)
る頃、または
旅烏
(
たびがらす
)
の
啼
(
な
)
き騒ぐ秋の夕方
沢蔵稲荷
(
たくぞういなり
)
の
大榎
(
おおえのき
)
の止む間もなく
落葉
(
おちば
)
する頃、私は散歩の杖を伝通院の門外なる
大黒天
(
だいこくてん
)
の
階
(
きざはし
)
に休めさせる。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ムクは古市の町の左側の
大榎
(
おおえのき
)
のところまで来た時分に、前後から挟み打ちにされてしまいました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
丁度いい人達に逢ったと喜んで、半七は三人を路ばたの
大榎
(
おおえのき
)
の下へ呼び込んだ。
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
次の瞬間、銑吉の身は、ほとんど本能的に
大榎
(
おおえのき
)
の幹を
小盾
(
こだて
)
に取っていた。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お屋敷の
土塀
(
どべい
)
を出外れまして、あの
大榎
(
おおえのき
)
のところまでまいりました。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
榎
漢検準1級
部首:⽊
14画
“大”で始まる語句
大
大人
大事
大袈裟
大分
大切
大抵
大概
大方
大丈夫