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囲繞
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とりま
ふりがな文庫
“
囲繞
(
とりま
)” の例文
旧字:
圍繞
賭場は、今が勝負の最中らしく、明神へ参詣帰りの客や、土地の者が、数十人集まってい、盆を
囲繞
(
とりま
)
いて、立ったり坐ったりしていた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こうした町つづきの外郭の建築物は内部に隠れたものを
囲繞
(
とりま
)
きながら、あだかも全体の設計としての一部を形造っているように見える。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
船長事務長及び数百の乗客の限りなき哀悼悲痛の中に
囲繞
(
とりま
)
かれて眠るが如くに最後の息を引取った。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
村童は乍ちにこの人を
囲繞
(
とりま
)
いて上衣の裾に縋り、脊中に攀ぢ登り、思ひの儘な
悪劇
(
いたづら
)
をしても此人は腹を立てません。小供が馴染む許りではない、此人に吠えた犬は、近村に一疋もありませなんだ。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
それを
囲繞
(
とりま
)
く人群の前の方には気取屋連が得意げで
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
▼ もっと見る
はたして提灯を先に立て一団の人数が粛々と駕籠を
囲繞
(
とりま
)
いて練って来たが、例によって門がギーと開くとスーッと中へ消え込んだ。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
休みの時間毎に出て見ると、校堂を
囲繞
(
とりま
)
く草地の上には秋らしい日が
映
(
あた
)
って来ている。足を投出す生徒がある。昼間鳴く虫の声も聞えて来る。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
仲居
(
なかい
)
と舞子に
囲繞
(
とりま
)
かれつつ歓楽に興ずる一団を中心として幾多の
遠近
(
おちこち
)
の涼み台の群れを
模糊
(
もこ
)
として描き、京の夏の夜の夢のような歓楽の
軟
(
やわら
)
かい気分を全幅に
漲
(
みなぎ
)
らしておる。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
傷つけられた睡蓮たちは彼女を
囲繞
(
とりま
)
き溜息します。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
一人の武士が四筋の鎖で、がんじ
搦
(
がら
)
みに
搦
(
から
)
められていた。畳の上に転がっていた。それを五人の異形の男女が、真ん中にして
囲繞
(
とりま
)
いていた。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あの古い御堂を
囲繞
(
とりま
)
く
鉄柵
(
てっさく
)
の中には、
秋海棠
(
しゅうかいどう
)
に似た草花が何かのしるしのようにいじらしく咲き乱れていたことを思出した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
するとこの亭を
囲繞
(
とりま
)
いている木々の向こうから、この亭の人々を警護していた、飛田林覚兵衛と勘兵衛との声が、狼狽したらしく聞こえてきた。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
よし節子を
囲繞
(
とりま
)
く一切の病的なものが
悉
(
ことごと
)
く彼の
責
(
せめ
)
のあることでは無いにしても、それほど彼女を力の無いものとした根本の打撃は争われなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
グルリを
囲繞
(
とりま
)
いた数人の山窩、その中には将監もいた。
敢
(
あえ
)
て半弓ばかりでなく、多羅尾将監は
鍾巻
(
かなまき
)
流の使い手、どうしてどうして馬鹿には出来ない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
慣れては知らずにいるほど職業的に成ってしまったような空気が、実に濃く彼の身を
囲繞
(
とりま
)
いていることを知って来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
焚火を
囲繞
(
とりま
)
き円を描き、ピッタリ塊まっている彼らの姿は、黒土で作った炉のように見えた。人間炉の真ん中で、火が赤々と燃えているのであった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
職員室の片隅にも、四五人の教員が大火鉢を
囲繞
(
とりま
)
いた。例の準教員が其中へ割込んで入つた時は、誰が言出すともなく丑松の噂を始めたのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
左右に
馳違
(
はせちが
)
ふ少年の群を分けて、高等四年の教室へ近いて見ると、廊下のところに校長、教師五六人、中に文平も、其他高等科の生徒が丑松を
囲繞
(
とりま
)
いて
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
離れ座敷をグルリと
囲繞
(
とりま
)
き真黒に捕方が集まっている。しかも座敷の中からは三味線が
長閑
(
のどか
)
に聞こえてくる。
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自動車が近付くに従って林の中から一行を迎える歓呼の声が聞こえて来た。純白の天幕を
囲繞
(
とりま
)
いて銅色の肌をした土人どもが
蠅
(
はえ
)
のようにウヨウヨ集まっている。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今は其を
明
(
あかる
)
い
日光
(
ひかり
)
の中に経験する。
種々
(
いろ/\
)
な恐しい顔、嘲り笑ふ声——およそ人種の
憎悪
(
にくしみ
)
といふことを表したものは、右からも、左からも、丑松の身を
囲繞
(
とりま
)
いた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「陰惨たる殺気、陰惨たる殺気、それが歌声を
囲繞
(
とりま
)
いている」「それは大変だ。急いで行こう」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこは八幡宮に近い町の裏手にあたって、
平坦
(
たいら
)
な耕地に
囲繞
(
とりま
)
かれたような位置にある。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おや
輿
(
こし
)
が舁ぎ出されたよ。……輿の中に女がいるよ。おや
仰向
(
あおむ
)
けに眠っている。美麻奈さんに似ているよ。だが顔が解らない。輿が玄関へ舁ぎ出された。獣人達が
囲繞
(
とりま
)
いた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
翌日
(
あくるひ
)
、原は午前のうちに訪ねて来た。相川の家族はかわるがわる出て、この珍客を
款待
(
もてな
)
した。七歳になる可愛らしい女の児を始め、四人の子供はめずらしそうに、この
髭
(
ひげ
)
の叔父さんを
囲繞
(
とりま
)
いた。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
勾欄を巡らした廻廊が、家の
周囲
(
まわり
)
を
囲繞
(
とりま
)
いている。これは恐らく社務所なのだろう。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こう云いながらジョン少年は、湾をグルリと
囲繞
(
とりま
)
いていた
洞窟
(
ほらあな
)
の内壁を指差した。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
老いたる
僕
(
しもべ
)
や
乳母
(
うば
)
や、荒々しい旅廻りの寄食浪人などばかりに
囲繞
(
とりま
)
かれ、陰欝な屋敷に育って来た者は、型の変った箱入り娘というべきであり、箱入り娘は、最初にぶつかって来た異性に
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
秀た額、
角度
(
かど
)
立った頤、頬骨低く耳厚く、
頸足
(
えりあし
)
長く肩丸く、
身長
(
せい
)
の高さ五尺七八寸、
囲繞
(
とりま
)
いた群集に
抽出
(
ぬきんで
)
ている。垢付かぬ肌の清らかさは、手にも足にも充分現われ、神々しくさえ思われる。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
階下
(
した
)
が三間に二階が二間——そのくらい間数はあるらしく、裏に小広い庭があって、茶の木と八ツ手などがあしらってあり、それを
囲繞
(
とりま
)
いて一間の竹垣——などがあろうと思われそうな家で
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
鼠色、薄黄色、薔薇色……と湖水を
囲繞
(
とりま
)
いている原始林は夢から醒めて騒ぎ出した。葉は葉と囁き枝は枝と揺れ幹と幹とは擦れ合って化鳥のような声を上げる。風が
征矢
(
そや
)
のように吹き過ぎる。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寞々
(
ばくばく
)
とした雲棚引き、東の
涯
(
はて
)
にただ一つ
糠星
(
ぬかぼし
)
が
瞬
(
またた
)
いているばかり、
四方
(
あたり
)
を
囲繞
(
とりま
)
く峨々たる山は、闇を
凌
(
しの
)
いで黒く
聳
(
そび
)
え嵐に吹かれて唸りをあげ、山裾を流れる大河の水は岩に
遮
(
さ
)
かれて叫んでいる。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
グルリと紋太郎を
囲繞
(
とりま
)
いたが
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
使徒達はイエスを
囲繞
(
とりま
)
いた。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
面白そうに
囲繞
(
とりま
)
いていた。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“囲繞”の意味
《名詞》
回りを囲い廻らすこと。とりまくこと。
(出典:Wiktionary)
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
繞
漢検1級
部首:⽷
18画
“囲繞”で始まる語句
囲繞溝渠