向島むかふじま)” の例文
感歓かんくわんまりて涙にむせばれしもあるべし、人を押分おしわくるやうにしてからく車を向島むかふじままでやりしが、長命寺ちやうめいじより四五けん此方こなたにてすゝむひくもならず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
うかしたかと氣遣きづかひてへば、にはか氣分きぶんすぐれませぬ、わたし向島むかふじまくのはめて、此處こゝからぐにかへりたいとおもひます、貴郎あなたはゆるりと御覽ごらんなりませ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朝日新聞社員あさひしんぶんしやゐん横川勇次氏よこかはゆうじしを送らんと、あさ未明まだきおきいでて、かほあらも心せはしく車をいそがせて向島むかふじまへとむかふ、つねにはあらぬ市中しちうにぎはひ、三々五々いさましげにかたふて
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
去年向島むかふじまの花見の時女房づくりして丸髷に結つて朋輩と共に遊びあるきしに土手の茶屋であの子に逢つて、これ/\と聲をかけしにさへ私の若く成しに呆れて、お母さんでござりますかと驚きし樣子
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
去年向島むかふじまの花見の時女房づくりして丸髷まるまげに結つて朋輩ほうばいと共に遊びあるきしに土手の茶屋であの子に逢つて、これこれと声をかけしにさへ私の若くなりしにあきれて、おつかさんでござりますかと驚きし様子
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
去年きよねん向島むかふじま花見はなみとき女房にようぼうづくりして丸髷まるまげつて朋輩ほうばいともあそびあるきしに土手どて茶屋ちやゝであのつて、これ/\とこゑをかけしにさへわたしわかなりしにあきれて、おつかさんでござりますかとおどろきし樣子やうす
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)