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ぶげんしゃ
ふりがな文庫
“
分限者
(
ぶげんしゃ
)” の例文
彼はまた、優に千両の無尽にも応じたが、それほど実力を積み蓄えた
分限者
(
ぶげんしゃ
)
は木曾谷中にも彼のほかにないと言われるようになった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
天保
(
てんぽう
)
頃の江戸の
分限者
(
ぶげんしゃ
)
の番附では、西の大関に据えられている、千万長者の家へ
貰
(
もら
)
われて行ったのですが、それは今で云う政略結婚で
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
城下町から三里ほど離れたところに由利団右衛門という
分限者
(
ぶげんしゃ
)
がいた。どれくらいの大判小判を持っているか見当がつかない。
落語・教祖列伝:04 飛燕流開祖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
本所
分限者
(
ぶげんしゃ
)
の一人に数えられている
吾妻屋
(
あずまや
)
金右衛門が、昨夜誰かに殺されていることを、今朝になって発見した騒ぎでした。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
千利久は茶器の新旧可否を鑑定して
分限者
(
ぶげんしゃ
)
になった男だが、
親疎異同
(
しんそいどう
)
によって、
贋物
(
にせもの
)
を
真物
(
ほんもの
)
、
新
(
しん
)
を
古
(
こ
)
と言い張って、よく人を欺いたということである。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
歩哨 おお、いえ、四月初めにお呼出を受けた物持
分限者
(
ぶげんしゃ
)
の中で、これまで出頭しなかった者で。沼田まで来てウロウロしていたので連れて参りました。
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
傲然
(
ごうぜん
)
としてやって来たのは、一見して成り上がり者の
分限者
(
ぶげんしゃ
)
と思われる赤ら顔の卑しく肥った町人でした。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それではこの女に資本を下ろしてやって機械を作らせ、どんどん小判をこしらえさせれば、たちまちにして
分限者
(
ぶげんしゃ
)
になるわけだと——彼は声を小さくして訊いた。
早耳三次捕物聞書:03 浮世芝居女看板
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
京の或る
分限者
(
ぶげんしゃ
)
が山科の寺で
法会
(
ほうえ
)
を
営
(
いとな
)
んだときに、大勢の尊い僧たちが本堂にあつまって経を
誦
(
ず
)
した。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「じつはあれからの旅路で、この地方の
趙
(
ちょう
)
と仰っしゃる
分限者
(
ぶげんしゃ
)
に行き会い、その方のお情けに囲われて、今では娘の翠蓮も、この土地で一戸を持っておりますので」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
名誉職も
分限者
(
ぶげんしゃ
)
も教職員も自ら乗気になって出演の決心をつけた。どんな歌詞かは知らぬが
鬼涙
(
きなだ
)
音頭なる小唄も出来て「東京音頭」の節で歌われるということであった。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
それぞれの職人を使って造らせる
山椒大夫
(
さんしょうだゆう
)
という
分限者
(
ぶげんしゃ
)
がいて、人なら幾らでも買う。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
新橋に
半玉
(
おしゃく
)
に出たが、
美貌
(
びぼう
)
と才能は、じきに目について、九州の
分限者
(
ぶげんしゃ
)
に根引きされその人に
死
(
しに
)
別れて
下谷講武所
(
したやこうぶしょ
)
からまた
芸妓
(
げいしゃ
)
となって出たのが縁で、江木衷博士夫人となったのだ。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
其妻が徳川時代の
分限者
(
ぶげんしゃ
)
の
洒落
(
しゃれ
)
れた
女房
(
にょうぼ
)
のように、わたしゃ此の家の床柱、
瓶花
(
はな
)
は勝手にささしゃんせ、と澄ましかえって居てくれたなら論は無かったのだが、
然様
(
そう
)
はいかなかった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何兵衛が貧乏で、何三郎が
分限者
(
ぶげんしゃ
)
だ。徳右衛門には、田を何町歩持っている。それは何かにつれて、すぐ、村の者の話題に上ることだ。人は、不動産をより多く持っている人間を羨んだ。
浮動する地価
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
同じ
渡海
(
とかい
)
を渡世にしていても、北条屋は
到底
(
とうてい
)
角倉
(
かどくら
)
などと肩を並べる事は出来ますまい。しかしとにかく
沙室
(
しゃむろ
)
や
呂宋
(
るそん
)
へ、船の一二
艘
(
そう
)
も出しているのですから、一かどの
分限者
(
ぶげんしゃ
)
には違いありません。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「今和尚さんが言い御座ったろうが。福岡一の
分限者
(
ぶげんしゃ
)
の娘たい」
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
歩哨 おお、いえ、四月初めにお呼出しを受けた物持
分限者
(
ぶげんしゃ
)
の中で、これまで出頭しなかった者で。沼田まできてウロウロしていたので連れて参りました。
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
そういう隠居は木曾谷での屈指な
分限者
(
ぶげんしゃ
)
と言われることのために、あの
桝田屋
(
ますだや
)
と自分の家とが特に小前の者から目をつけられるのは迷惑至極だという顔つきである。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「磯の安松と、伊賀屋の源三郎と、両手に花とふざけていたお喜美が、——親の秋山佐仲の入智恵もあったことでしょうが、本郷で指折りの
分限者
(
ぶげんしゃ
)
、田原屋の嫁になる気になった」
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もともと養父金兵衛は木曾谷での
分限者
(
ぶげんしゃ
)
に数えられた馬籠の
桝田屋惣右衛門
(
ますだやそうえもん
)
父子の
衣鉢
(
いはつ
)
を継いで、家では造り酒屋のほかに質屋を兼ね、馬も持ち、田も造り、山林には木の苗を植え
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
限
常用漢字
小5
部首:⾩
9画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“分限”で始まる語句
分限
分限帳
分限紳士