“凍(こゞえ)” の例文
春庵は五十三駅を過ぐる間、特に若党一人をして慈姑を保護せしめ、昼は水を澆(そゝ)ぎ、夜は凍(こゞえ)を防いで、生ながら致すことを得たのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
袖襟(そでえり)へ雪を吹入れて全身(みうち)凍(こゞえ)て息(いき)もつきあへず、大風四面よりふきめぐらして雪を渦(うづ)に巻揚(まきあぐ)る、是を雪国にて雪吹といふ。
去年(きよねん)の夏頃(なつごろ)から此(こ)の稼場(かせぎば)に姿(すがた)を見(み)せ初(はじ)め、川風(かはかぜ)の身(み)に浸(し)む秋(あき)も早(はや)く過(す)ぎ、手袋(てぶくろ)した手先(てさき)も凍(こゞえ)るやうな冬(ふゆ)になつても毎夜(まいよ)休(やす)まずに出(で)て来(く)るので、今(いま)では女供(をんなども)の中(なか)でも一番(ばん)古顔(ふるがほ)になつてゐる。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風、永井壮吉(著)
袖襟(そでえり)へ雪を吹入れて全身(みうち)凍(こゞえ)て息(いき)もつきあへず、大風四面よりふきめぐらして雪を渦(うづ)に巻揚(まきあぐ)る、是を雪国にて雪吹といふ。
時しも寒気(かんき)肌(はだへ)を貫(つらぬ)くをりふしなれば、凍(こゞえ)も死(し)すべきありさま也。ふたおやはさら也人々もはじめてそれと知り、実(げ)にもとてみな/\おなじく水を浴(あび)ていのりけり。
夫(をつと)は簑笠(みのかさ)を吹とられ、妻(つま)は帽子(ばうし)を吹(ふき)ちぎられ、髪(かみ)も吹みだされ、咄嗟(あはや)といふ間(ま)に眼口(めくち)襟袖(えりそで)はさら也、裾(すそ)へも雪を吹いれ、全身(ぜんしん)凍(こゞえ)呼吸(こきう)迫(せま)り半身(はんしん)は已(すで)に雪に埋(う)められしが