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夏頃
樗は、
普通『せんだん』といつてゐる
木で、
紫がゝつた
花が
夏頃に
咲きます。それが
家の
外側の
木立ちの
中に、
交つてゐるわけであります。それを
作者がさみだれの
頃に
見てゐる
歌で
去年の
夏頃から
此の
稼場に
姿を
見せ
初め、
川風の
身に
浸む
秋も
早く
過ぎ、
手袋した
手先も
凍るやうな
冬になつても
毎夜休まずに
出て
来るので、
今では
女供の
中でも一
番古顔になつてゐる。