トップ
>
凄気
>
せいき
ふりがな文庫
“
凄気
(
せいき
)” の例文
旧字:
凄氣
叫んで、さっと身をすさったが、三島が必死の刃は、圧する
凄気
(
せいき
)
と共に、対馬守の肩先に襲いかかった。しかしその一刹那である。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「しかし、あの虹の告げ口だけは、どうすることも出来ません」と法水はさらに急追を休めず、
凄気
(
せいき
)
を双眼に
泛
(
うか
)
べて云い放った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
噂は、
醒
(
さ
)
めぬ悪夢のように孟州城内を暗くした。以後幾日かは、城外盛り場の灯すらともらず、沼のような
凄気
(
せいき
)
が昼も冷たく吹いていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近いうちにこの切先が、私の手の内で何人かの血を吸うであろう……と思うと一道の
凄気
(
せいき
)
が
惻々
(
そくそく
)
として身に迫って来る。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あまりに静まり返ったために、何となく、あたりいっぱいに漂う一道の
凄気
(
せいき
)
が、ここの一間の
行燈
(
あんどん
)
の
火影
(
ほかげ
)
にまで迫って来るようでありました。ほどなく
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
それが彼のその時の夢ではそう行かなかった。その不思議な変化がどこまでも不思議で、その上それが一種の
凄気
(
せいき
)
のようなものをさえ感じさせるのだった。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
別にいろいろの不思議を見たり聞いたりしたわけでもないのだが、家具のないある部屋の前を通ると、なんとも説明することの出来ない一種の
凄気
(
せいき
)
にうたれるのだ。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
さすがに
持扱
(
もてあつか
)
ひて直行の途方に暮れたるを、老女は目を
纖
(
ほそ
)
めて、
何処
(
いづこ
)
より出づらんやとばかり世にも
奇
(
あやし
)
き声を
発
(
はな
)
ちて
緩
(
ゆる
)
く笑ひぬ。彼は
謂知
(
いひし
)
らぬ
凄気
(
せいき
)
に打れて、覚えず肩を
聳
(
そびや
)
かせり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
女の、その声は嬉しそうに輝いていたが、どこか
凄気
(
せいき
)
のある青くさい声音であった。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
松岡長吉は
水際
(
みずぎわ
)
に身をひいて、うしろに川を置き、構えるようにした。
捉
(
とら
)
えどころのない
漠
(
ばく
)
とした
凄気
(
せいき
)
を身に受けた。——そのとき、彼らは夜に乗じていた。いと口はこんなつまらぬ口論でよかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
しかし正成は、なお、ゆとりあるものとして、
南々西
(
なんなんせい
)
一帯の海から山へ眼をすましていた。刻々、風は
凄気
(
せいき
)
を
孕
(
はら
)
み出す。午前十時をやや過ぎる。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身の毛を
簑
(
みの
)
のようによだてて立ち上った瞬間を最初に認めたのは、清澄の茂太郎ひとりでしたけれども、その
凄気
(
せいき
)
に襲われたのは船の人すべてでありました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一見するに
凛烈
(
りんれつ
)
、人を圧するような気品と
凄気
(
せいき
)
をたたえて羽織はかまに威儀を正しながら雪の道に平伏している姿は、どうやら、一芸一能に達した名工、といった
風貌
(
ふうぼう
)
の老人なのです。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その顔は死相と
紙一
(
ひ
)
ト
重
(
え
)
の白さだ。生き物の必死がしめす或る
凄気
(
せいき
)
さえおびている。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
慇懃
(
いんぎん
)
な礼儀のあいだであるが、何かしらさっと肌じまるような
凄気
(
せいき
)
がながれた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「では」というと、
蝶番
(
ちょうつがい
)
の金具がキイと……悲しむように鳴った。この一瞬になると、並いるもの誰彼の境なく、痛快とか悲壮とかいうものを超えて、一種の
凄気
(
せいき
)
に歯の根が
咬
(
か
)
みしまる。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四十名を出ない小勢といえ、覚悟を一つにかためて、いざ来い——となると、なお数千の兵があった狐塚の今朝方などよりも、遥かに
凛
(
りん
)
たる志気も示され、
凄気
(
せいき
)
、敵を
睥睨
(
へいげい
)
する概もあった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今朝、寺の
筧
(
かけひ
)
の水で、
起抜
(
おきぬ
)
けに顔を洗うときから、善鬼の
面
(
おもて
)
には、夜来の感情がすこしも
拭
(
ぬぐ
)
われていないのみか、むしろ、そそ毛立っているような
凄気
(
せいき
)
をすら——典膳は、ひそかに見ていた。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしその青い面色に一
抹
(
まつ
)
の
凄気
(
せいき
)
は見せたものの、依然、言葉はしずかに。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その容子が、諸将の
面
(
おもて
)
に、さっと
凄気
(
せいき
)
をながした。その
唇々
(
くちぐち
)
から
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
名月の面にも墨を吹いたような
凄気
(
せいき
)
が
漂
(
ただよ
)
っている。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何か、寄り難い
凄気
(
せいき
)
に吹かれた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“凄気”の意味
《名詞》
凄まじい気配や様子。
(出典:Wiktionary)
凄
常用漢字
中学
部首:⼎
10画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“凄”で始まる語句
凄
凄惨
凄味
凄愴
凄艶
凄腕
凄然
凄婉
凄絶
凄文句