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侮
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あな
ふりがな文庫
“
侮
(
あな
)” の例文
女は泣くもの歎くものと昔から許されていることも、口先では
侮
(
あな
)
どっているものの、衷心ではほんとに美しいこともある。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
柳の色の厚織物の細長に下へ
萌葱
(
もえぎ
)
かと思われる
小袿
(
こうちぎ
)
を着て、薄物の簡単な
裳
(
も
)
をつけて卑下した姿も感じがよくて
侮
(
あな
)
ずらわしくは少しも見えなかった。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
葉子は、その手を払いのけ、黒吉の片足を
侮
(
あな
)
どって、いきなり身を
躱
(
かわ
)
して逃げ出そうとした時だった。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そしてかれらがなおやかましく叫びたてるのを聞いていたが、ふと志保のほうへふり返って、「お母さま、おとなというものは妙ですね」といかにも
侮
(
あな
)
どり顔に云った。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼
(
かれ
)
は
彼
(
かれ
)
此
(
これ
)
は
此
(
これ
)
と
陰
(
かげ
)
になりてのお
指圖
(
さしづ
)
に
古參
(
こさん
)
の
婢女
(
ひと
)
も
侮
(
あな
)
どらず
明日
(
きのふ
)
の
我
(
わ
)
れ
忘
(
わす
)
れし
樣
(
やう
)
な
樂
(
らく
)
な
身
(
み
)
になりたるは
孃
(
じよう
)
さまの
御情
(
おなさけ
)
一
ツ
なり
此御恩
(
このごおん
)
何
(
なん
)
として
送
(
おく
)
るべき
彼
(
か
)
の
君
(
きみ
)
さまに
廻
(
めぐ
)
り
逢
(
あ
)
はゞ
二人共々
(
ふたりとも/″\
)
心
(
こゝろ
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
口元
(
くちもと
)
に
侮
(
あな
)
どりの波が
微
(
かす
)
かに
揺
(
ゆ
)
れた。余の言葉を
洒落
(
しゃれ
)
と解したのだろう。なるほど洒落とすれば、
軽蔑
(
けいべつ
)
される
価
(
あたい
)
はたしかにある。
智慧
(
ちえ
)
の足りない男が無理に洒落れた時には、よくこんな事を云うものだ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かがみゐて寒き日向や
下心
(
した
)
ふかく
侮
(
あな
)
づる子らに
隙
(
ひま
)
與へけり
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
同じく大椀に添へ
山葵
(
わさび
)
大根
葱
(
ねぎ
)
海苔
(
のり
)
等藥味も
調
(
とゝの
)
ひたり蕎麥は定めて太く黒きものならん
汁
(
つゆ
)
の
醎
(
から
)
さもどれほどぞと
侮
(
あな
)
どりたるこそ耻かしけれ篁村
一廉
(
いつかど
)
の蕎麥通なれど未だ箸には掛けざる妙味切方も細く手際よく
汁加减
(
つゆかげん
)
甚はだ
佳
(
よ
)
し思ひ寄らぬ珍味ぞといふうち膳の上の椀へヒラリと蕎麥一山飛び來りぬ心得たりと箸を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
かがみゐて寒き日向や
下心
(
した
)
ふかく
侮
(
あな
)
づる子らに
隙
(
ひま
)
与へけり
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「閑静な電車ですね」と自分が
侮
(
あな
)
どるように云った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
侮
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
“侮”を含む語句
侮辱
侮蔑
軽侮
嘲侮
輕侮
侮辱的
侮蔑的
冷侮
侮慢
倨侮
見侮
蔑侮
御軽侮
外侮
嘲弄侮慢
佞侮多
侮辱法
侮誣
侮声