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侠気
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きょうき
ふりがな文庫
“
侠気
(
きょうき
)” の例文
旧字:
侠氣
それに、彼の持ちまえの
侠気
(
きょうき
)
というか、功名心というか、そうしたものが、彼自身でも気づかない間に、そろそろと頭をもたげていた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
侠気
(
きょうき
)
とたのもしさとをその目に物語らせながら、ぎろり若者の面を見すえたものでしたから、ようやく男も安心と決意がついたのでしょう。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その
寡欲
(
かよく
)
と、正直と、おまけに客を愛するかみさんの
侠気
(
きょうき
)
とから、半蔵のような旅の者でもこの家を離れる気にならない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
若松屋惣七は、商人の柄になく、出さなくてもいいところへ金を出したりして、
侠気
(
きょうき
)
といえば侠気だが、それでいま苦しんでいるというのである。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一通りの親切や
侠気
(
きょうき
)
では出来ないことで、細かいことを云えば円タクその他の足賃にしても相当遣っているであろう。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
血つづきのせいかおてつに似て、おおまかな
侠気
(
きょうき
)
はだな性分らしく、しかしさすがにおてつよりは
遙
(
はるか
)
におちついた、大きな宿の主婦らしい
貫禄
(
かんろく
)
があった。
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
母がぱっぱという
出任
(
でまか
)
せのわが子に対しても見境いない憎悪の言葉を耳に
咎
(
とが
)
めて、反射的にたしなめるそのことが一時の忠義立てや
侠気
(
きょうき
)
の
做
(
な
)
す業にしても
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
侠気
(
きょうき
)
、胆力、度量、
寧
(
むし
)
ろ女性にはあらずもがなの諸徳を、この老女は多分に持っているには違いありません。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それで亭主の方はどうかと云うと、離婚を申し込まれた時は
侠気
(
きょうき
)
を起してさっそく承知したのみならず、離別後も常にシェリングと親密な音信をしていたそうであります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
才気と
侠気
(
きょうき
)
が備わっているので、人を
御
(
ぎょ
)
すのが上手、町人になって、屋根
請負
(
うけお
)
いを始め、やがて、諸侯の
普請
(
ふしん
)
人足を請負うようになり、また、土地の売買をやったりして
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大口屋
暁雨
(
ぎょうう
)
の
侠気
(
きょうき
)
と、
男達
(
おとこだて
)
釣鐘庄兵衛の鋭い
気魄
(
きはく
)
を持って生れながら、身分ちがいの故に腹を切るという、その頃では、まだ濃厚に残っていた差別待遇を
諷
(
ふう
)
した作を残している。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
侠気
(
きょうき
)
の点を
酌量
(
しゃくりょう
)
されて佐渡送り——お初は、一年あまり、牢屋ぐらしをして、出て来たのだったが、それ以来、彼女は一生かえれぬところへ送られた情人の渡世に転向して、やがて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
途中で親分に逢ったのを幸い、親分の
侠気
(
きょうき
)
に
縋
(
すが
)
って、一緒に行ってもらいました。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この亀沢町の家の隣には、
吉野
(
よしの
)
という
象牙
(
ぞうげ
)
職の老夫婦が住んでいた。
主人
(
あるじ
)
は町内の
若
(
わか
)
い
衆頭
(
しゅがしら
)
で、
世馴
(
よな
)
れた、
侠気
(
きょうき
)
のある人であったから、女房と共に勝久の身の上を引き受けて世話をした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と砂馬から、
侠気
(
きょうき
)
に富んだ返事を貰ったが、すぐ二日ほどして、俺は
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
なおいっそうのたのもしさと
侠気
(
きょうき
)
とを言外に含めて、男の悲しみと苦痛を、その大きな胸へ抱き包むように尋ねました。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
浮世絵師
(
うきよえし
)
が夢に見そうないい女で、二十
七
(
しっ
)
、
八
(
ぱち
)
の
脂
(
あぶら
)
の乗り切った女ざかり、とにかく、
凄
(
すご
)
いような美人なのが、
性来
(
せいらい
)
の
侠気
(
きょうき
)
が
禍
(
わざわ
)
いして、いつの間にかこうして女遊人に身を持ち崩し
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お涌に取つて女中のために蝙蝠を運んで行つてやる
侠気
(
きょうき
)
以上の張合ひであつた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
俊亮が例の
侠気
(
きょうき
)
と大まかさから、店に使ってやることにしたのだった。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
言いざまに
頭
(
かしら
)
がまずまっさきにもろはだぬぎになりましたから、勇みと
侠気
(
きょうき
)
と伝法はおよそ江戸鳶の誇りです。
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お涌は大人にこれほど
叮嚀
(
ていねい
)
に頼まれる子供の
侠気
(
きょうき
)
にそそられて承知した。
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二つにはまた引取手のない無縁仏を拾いあげてねんごろに
菩提
(
ぼだい
)
を
弔
(
とむら
)
ってやろうとの
侠気
(
きょうき
)
から、身内の
乾児達
(
こぶんたち
)
に命じて毎夜こんな風に見廻らしている
土左船
(
どざぶね
)
なのでした。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お涌は大人にこれほど
叮嚀
(
ていねい
)
に頼まれる子供の
侠気
(
きょうき
)
にそゝられて承知した。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
見れば見捨てておけぬ
侠気
(
きょうき
)
からとはいいじょう、死を選ぼうとした男のために、それほども愛し恋していた女のもとを代わって訪れようとする今のおのが身をふりかえると
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“侠気”の意味
《名詞》
弱者を見過ごすことができず助けようという気持ち。男気。
(出典:Wiktionary)
“侠気(
任侠
)”の解説
任侠(にんきょう、任俠)とは、仁義を重んじ、弱きを助け強きを挫くために体を張る自己犠牲的精神や人の性質を指す語。
また、ヤクザ史研究家の藤田五郎の著述によれば、正しい任侠精神とは正邪の分別と勧善懲悪にあるという。
仁侠(じんきょう)、義侠心(ぎきょうしん)、侠気(きょうき)、男気(おとこぎ)などともいう。
(出典:Wikipedia)
侠
漢検準1級
部首:⼈
8画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“侠”で始まる語句
侠
侠客
侠氣
侠勇
侠骨
侠者
侠客肌
侠児
侠党
侠賊