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いこじ
ふりがな文庫
“
依怙地
(
いこじ
)” の例文
「遅いからもう
止
(
よ
)
そうと断りましたが、多の市さんは
依怙地
(
いこじ
)
な方で、こんな大雪にわざわざ来たんだからと、無理に入り込んで——」
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
早瀬がああいう
依怙地
(
いこじ
)
もんですで。半分馬鹿にしていて、孤児院の
義捐
(
ぎえん
)
なんざ賛成せんです。今日は会へも出んと云うそうで。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
執拗
(
しつよう
)
に丸太の柱につかまっている一寸法師と、それを又
依怙地
(
いこじ
)
に引きはなそうとしている紫繻子、その光景に一種不気味な前兆が感じられた。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こんなことまでしても腰をすえようとするそのしかたがあまり
依怙地
(
いこじ
)
なので、『大清』のほうでも癪にさわったが、さりとてどうすることも出来ない。
顎十郎捕物帳:18 永代経
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その様子が彼を
依怙地
(
いこじ
)
にならした。冗談だか真剣だか分らない気持でぶつかっていった。彼女は本当に怒りだした。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
妻のようすは少しも変らず、むしろしばしば、それ以前よりも冷やかで、
依怙地
(
いこじ
)
な態度をみせるようにさえなった。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ルナアルのある種の「狭さ」と「
依怙地
(
いこじ
)
」とが、せっかくの花園を豊かに茂らせないでいるという意味であろう。
「にんじん」とルナアルについて
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
だんだん
寂
(
さび
)
れて、町の古い住民だけが
依怙地
(
いこじ
)
に伝統を誇り、寂れても派手な風習を失わず、
謂
(
い
)
わば、滅亡の民の、名誉ある懶惰に耽っている有様でありました。
老ハイデルベルヒ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
三人とも彼の後ろ姿をじっと見送り、自分らの上役が急いでゆくことをいぶかっていた。Kが車に乗ることをやめたのは、ある種の
依怙地
(
いこじ
)
さというものだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
軽蔑でもされたように自分の心を
依怙地
(
いこじ
)
なものに固めてしまいました——それで、無性に沈黙していたのですが、沈黙すればするほど、その一管の音は、いよいよ鮮やかに
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
依怙地
(
いこじ
)
のくせに算筆も人より
長
(
た
)
けていたというので、お組頭の側にいて、
種々
(
いろいろ
)
な仕事があるたびに、帳付けをさせられていたというが、そのころ異人の黒船が日本国の海岸に
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
予ハ婆サンニ
窘
(
たしな
)
メラレテ一層
依怙地
(
いこじ
)
ニナッタ。ソノ癖手ノ冷エ方ハマス/\激シカッタ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
小心で馬鹿正直で、その
癖
(
くせ
)
どっか
依怙地
(
いこじ
)
な貧農
気質
(
かたぎ
)
が、血を
享
(
う
)
けた鷲尾にはよくわかる。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
だが相手も
依怙地
(
いこじ
)
に思われるほど強硬に後へ
退
(
ひ
)
かない。そう云われるとよけい辛くなります、減った分は私に払わして下さい、と主張する。馬鹿を云うな、と私は呶鳴りつける。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
下手な事をやられて、変に勘違いをされたり、
依怙地
(
いこじ
)
になられては困って
終
(
しま
)
う。石子刑事は、気が気ではなかった。重ねて口を開こうとするとたんに玄関で案内を乞う声が聞えた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
殊にまだ
二十歳
(
はたち
)
前の未熟なうちから、年上の女と、こういう変則な生活をして来た青春が、いつのまにか、青年らしい意気に欠け、卑屈に
萎
(
しぼ
)
み、
依怙地
(
いこじ
)
に
歪
(
ゆが
)
んでしまったのも、当り前だった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、彼はとめられればとめられるほど、
依怙地
(
いこじ
)
になった。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
断っても
依怙地
(
いこじ
)
で帰らないから仕様事なしにお前が弥八の代りに揉んで貰って、何とはなしに口止めの
心算
(
つもり
)
で二百はずんだ
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は多少
依怙地
(
いこじ
)
にもなって、前にはほんの三十分ほど浚ってやるだけだったのですが、それから後は一時間か一時間半以上、毎日必ず和文英訳と文典とを授けることにしたのでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのかわりまた、(あの安東村の紺屋の
隣家
(
となり
)
の乞食小屋で結婚式を挙げろ)ッて言うんでしょう。貴下はなぜそう
依怙地
(
いこじ
)
に、さもしいお米の
価
(
ね
)
を気にするようなことを言うんだろう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両脇
(
りょうわき
)
に子供をひきつけ、
依怙地
(
いこじ
)
なほど身体を
硬
(
こわ
)
ばらせている石のようなお安の後姿を、主水は
歎息
(
たんそく
)
するような気持で見まもった。
扶持
(
ふち
)
を離れたといっても、明日の
生計
(
たつき
)
に困るわけではない。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
骸骨に
極
(
きま
)
っている。わしはよっぽど開かないで置こうかと思った。併し、わしの執念は、理性を超越して、自動機械みたいに
依怙地
(
いこじ
)
になっていた。わしは、その最後の棺さえもあばき始めた。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
両肱
(
りょうひじ
)
を張って、息もせずに、そうしていると、何と、感じたものだろうか、
依怙地
(
いこじ
)
で、
猜疑
(
さいぎ
)
ぶかくて、執念づよい小動物は逃げもせず、かえって鋭い光をその眼に加え、じいっと、いつまでも
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ソウナルト予ハイツモノ癖デ
依怙地
(
いこじ
)
ニナリ、直グニハ立チ上ロウトシナイ。シカシマス/\冷エテ来ルノガ感ジラレタ。婆サンハコンナ時ハ心得テイルノデ、決シテ
執拗
(
しつこ
)
クハ注告シナイ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
本来だと、
朋友
(
ともだち
)
が先生の令嬢を
娶
(
めと
)
りたいに就いて、
下聴
(
したぎき
)
に来たものを、聞かせない、と云うも
依怙地
(
いこじ
)
なり、
料簡
(
りょうけん
)
の狭い話。二才らしくまた何も、娘がくれた花だといって、人に惜むにも当らない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むしろ、
依怙地
(
いこじ
)
にも見えるくらいな、冷静な
面
(
おも
)
もちをしている。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「いや」と
依怙地
(
いこじ
)
に濡れ雪のうえに坐りこんでしまった。
白雪姫
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
サト子は、
依怙地
(
いこじ
)
になって、みなのそばに立っていた。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
依怙地
(
いこじ
)
なまでに無器用なやりかたを。
黒い手帳
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“依怙地”の意味
《名詞》
依 怙 地 (いこじ, えこじ)
強情で自分の考えを押し通すこと。
(出典:Wiktionary)
依
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
怙
漢検1級
部首:⼼
8画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“依怙地”で始まる語句
依怙地者